査読者1

(Primary)レビューサマリ

ユーザ参加型のデザインによって事前に問題点や課題を抽出し実装改良している点や,弱視者のユーザ参加型デザインは有益で,実際に実用的なユーザインタフェースの設計になっている点,また先行研究から発展していることが伺える点が評価されています.

他方で,昨年の発表との差分がさほど大きいわけではない点や翻訳をかけたような機械的な文章が多々あり可読性が損なわれている点,ユーザ体験が感想のようなコメントになっており,そこから研究への考察・深掘りが不足している点が改善すべきコメントとして挙げられています.

この結果から,「条件付き採録」という評価になります.

条件は,主に以下の3点の修正です.
(1)可読性の向上(各査読者の改善コメントを参考にしてください)
論文中,日本語の表現が適切ではなく,翻訳ツールを活用した記載になっているように見受けられます.必ず,日本語ネイティブの方に確認をしてもらい,修正をするようにしてください.
条件付き採録ですので,再度提出された論文を拝見した際に,可読性の向上が確認できない場合(翻訳ツール等を活用しているように思われる記述が残っていた場合)は不採録とします.

具体的な修正の一例を下記に挙げます.あくまで一例ですので、論文全てを再度確認してください。
・「視覚活動と視覚アクティビティ」「エヴァとエバ」のように,論文中に同じこと・人物を示すはずの記載について表記揺れが目立ちます.表記を統一するようにしてください.
・論文中全てにおいて「、(読点)」を「,(カンマ)」に修正してください.
・3.2.1の「視聴には高い注意力が必要で(ジョン、エヴァ、エミリー)」は、「参加者全員はこれまでの経験から、プレゼンテーションビデオを視聴することに対して、高い注意力が必要であることを述べていた。」というように記載してください。

(2) 考察・深掘りを行う(この考察が昨年の発表の差分となり得る)
現在の論文では,体験された感想のみが記載されている印象です.ユーザの意見をもとに考察を行い,深掘りしてください.


(3) 3章の下記について対応してください。(他査読者のコメントにあるものと同様です)
・ 3.1.1 「時間に対して 100 米ドルのギフトカードで報酬を支払った」とありますが、毎時間に100米ドル支払ったのでしょうか?それとも、全体(5時間)に対して100米ドル支払ったのでしょうか?
・3.2.1 「参加者全員がプレゼンテーションビデオを学習に利用している.」とありますが、参加者のこれまでの経験のことを指しているのでしょうか,それとも、今回のセッション1のことを指しているのでしょうか.「参加者全員が実験前に複数回にわたりプレゼンテーションビデオを学習に利用している.」のように、具体的に記載してください。
・3.2節がとても読みづらいです。「1. 可読性の向上」や「2. 考察・深掘り」と関連しますが、ジョン・エヴァ・エミリーの感想を列挙しているように見受けられます。得られた感想や結果を現在の文章から拾うのは難しいため,文章を精査するか、表などを使うなど、工夫してまとめてください。
・4章の「ShowMe は、(1)アクティビティ認識の結果に基づき、(2) アクティビティ可視化を生成することで動作する」とありますが、この(1), (2)は何を示しているのでしょうか。ただ2つあることを示したいのであれば、(1),(2)を記載しないか、箇条書きにするか、対応してください。

以上を修正することを条件として,条件付採録とさせていただきます.特に「(1)可読性の向上」については、再提出時に修正が不足していると査読者が判断した場合、不採録(reject)とさせていただきますので、予めご了承ください。

(Primary)採録時コメント

ユーザ参加型のデザインによって事前に問題点や課題を抽出しWISS2023で発表された先行研究から実装改良している点が評価されている.また,弱視者のユーザ参加型デザインは有益で,実際に実用的なユーザインタフェースの設計になっている点が評価されている.他方で、読みづらい文章が多々見られる点やユーザ体験が感想のみと見受けられ,そこから研究への考察・深掘りが不足している点が指摘されている.以上の理由から,条件付き採録と判断された.

(Primary)論文誌として必要な改善点

現状では新規性が不足しており、ユーザの感想のみが記載されている印象ですので、実験結果を中心に考察・深掘りをされることを推奨します。

総合点   (1: 強く不採録~6: 強く採録)

5: 採録

確信度   (1: 専門外である~3: 自身の専門分野とマッチしている)

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

論文としての質も十分あり,先行研究からさらに発展していることが伺える.
論文としては翻訳をかけて執筆されているのではないかと思われる箇所が多々見受けられ,読みづらい印象である.

改善コメント

・「、」を「,」に修正していただきたい.
・特に3.2節が読みづらい印象であるため,読みやすいように再考されることを期待する.

査読者2

総合点   (1: 強く不採録~6: 強く採録)

4: どちらかと言えば採録

確信度   (1: 専門外である~3: 自身の専門分野とマッチしている)

2: やや専門からは外れる

採否理由

ユーザ参加型のデザインによって事前に問題点や課題を抽出し実装改良している点は評価できる.利用者が明確で実需的で効果的な改善案が提案されている。利用者の観点からいえば新規性が高く有用性あるが、技術的な視点でいえば新規性は必ずしも高くない。また論文の質は記述が不十分なところがある。特に、ユーザー体験についての記述が印象的ではあるが、全体的な感想であり、詳細がない。査読者としてはこれは評価の項目としてではなく、システムの詳細を理解するための情報として考える。ユーザ参加型のデザインをしているならば、ここの記述を増やすことはできたはず。

改善コメント

ユーザ参加型のデザインによって,それはユーザーの問題意識が特定のスライドのごとを特性を課題として認識している可能性がないのか.それを拾うことがどんな場合でも効果的なのか.参加ユーザの問題解決に閉じた話のなのか(悪いわけではない)、少なくともこれにより参加ユーザーの今後のスライドの視聴体験の課題は解決され続ける方法が提案されたのか。このあたりが分離できる考察議論がほしい。それを判断するうえで4.5のユーザー体験の情報は重要であるが、その内容がざっくりしすぎている.現在は体験というか感想である.ユニークなコメントをしているが,それをそのまま掲載するのではなく,深堀りする必要がある。

査読者3

総合点   (1: 強く不採録~6: 強く採録)

4: どちらかと言えば採録

確信度   (1: 専門外である~3: 自身の専門分野とマッチしている)

1: 専門外である

採否理由

本論文は弱視ユーザのための視覚補助ツールShowMeを提案している.
ツールの内容は昨年のWISSで発表されたSmartReplayの発展版であり,使用されている技術自体は新しいものではないが,弱視支援を対象とした機能とデザインを行っている点で新規性があると言える.
実際の弱視ユーザを対象とした分析を行っており,ある程度の有用性を提示している.ただし,ShowMeの感想として記述されている有用性は4.5章の文章のみであり,ShowMeの機能がどのように効果したか,等の分析が欠けている.
論文の記述については,構成に問題はないものの,3章の記述が理解しづらいため,改善が必要と感じる.

以上の理由から,本論文の評価を4とする.

改善コメント

記述に関して,いくつか理解しづらい点がある.
3章:
- 3.1.1 「時間に対して 100 米ドルのギフトカードで報酬を支払った」
毎時間に100米ドル?全体(5時間)に対して100米ドル?
- 3.2.1 「参加者全員がプレゼンテーションビデオを学習に利用している.」
参加者のこれまでの経験のことを指しているのか,今回のセッション1のことを指しているのかが曖昧.
- 3.2.2 「視覚的活動には、プレゼンテーション間で一貫したスタイルがない.」
この章だけ結論が先に書かれている.他の章(3.2.3等)との一貫性が欲しい.
- 3章全体で,得られた感想や結果を文章から拾うのは難しいため,表などを使ったまとめが欲しい.

4章:
(1)(2)がその後引用されておらず,後続のどの章に対応するかが理解しづらい.

査読者4

総合点   (1: 強く不採録~6: 強く採録)

4: どちらかと言えば採録

確信度   (1: 専門外である~3: 自身の専門分野とマッチしている)

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

実際の弱視者のユーザ参加型デザインは有益で,実際に実用的なユーザインタフェースの設計になっているように見受けられます.一方で,ユーザインタフェースの新規性という点においては,昨年の発表との差分がさほど大きいわけではないとも考えます.

論文の記述の質に関して,本論文は基本的には明確に書かれているものの,英文を機械翻訳して作成されたようで,それによる表記の揺れが多数見受けられます(例:視覚活動と視覚アクティビティ,エヴァとエバ).採択された場合には,日本語ネイティブによる再チェックをすることを強く推奨します.

改善コメント

今後,ポインティングやマーキングなどの視覚的なアクティビティが無くとも,音声情報に基づいて強調表示をするなどの拡張があるとより面白くなるかと思いました.また,本システムをZoomのようなリアルタイムでの資料画面共有に適用することも,研究の今後の方向性としてあり得ると思いました.