WISS'98 Program
*印のついたものはショート論文(発表20分)、
それ以外は一般論文(発表30分)です。
12月2日(水)
14:00 - 15:30 ロケーションアウェアネス 座長 未定
- 時空間限定型オブジェクトシステム : SpaceTag
垂水浩幸、森下 健、中尾 恵、上林弥彦(京大)
"SpaceTag" は特定の時間・場所でしかアクセスできない仮想的なオブジェクトを
提供するシステムである。意図的にアクセス制限を加えることにより、ゲーム・
広告・イベントなどのエンターテインメント系の応用を狙い、「いつでもどこで
も」アクセス可能なインターネットとは逆の方向を目指す。オブジェクトの配送
には既存の通信基盤を用い、また今後互換性を維持しながら漸進的に性能向上で
きる方式を提供することで低コストの事業運用が可能となっており、安価な拡張
現実感システムとしても利用できる。本論文では SpaceTag システムの概要と思
想について述べる。
- *
コンテキストアウェアな情報提示システム「webpad」
林 一輝、松岡 聡(東工大)
Most previous context-aware UI systems were actually employed in a
relatively closed and controlled environment. Our WEBPAD architecture
attempts to be a general-purpose context-aware UI system by
recognizing and predicting current user's ``context'' information in a
much more wider-setting, based on available sensory technologies such
as GPS, and information stored within the PDA as well as preference
information of the user. WEBPAD employs wireless thin-client technique
to offload much of the data processing to the backend server that
embodies high processing and storage power as well as continuous,
high-speed interconnection to the Internet. The server collects useful
information such as various event schedules and point-of-interest
using information filtering techniques, and automatically notifies the
user via his PDA when important events are to happen. A prototype
WEBPAD system has been implemented, allowing us to conduct various UI
experiments as to its viability.
- *
位置情報利用による偶発的コミュニケーション支援
平川正人、吉高淳夫(広島大)
CSCW分野の近年の研究においては,位置透過の情報アクセス・協調作業に
多くの関心が集められている.一方,人間活動の物理的制約を考えれば,
自分の身近な場所に存在する情報をどれだけ効率よく収集・解析・利用する
ことができるかが今後問われてくるに違いない.物理的に近い空間を共有する
ということは,ある共通の趣味・思想を共有している可能性があり,それを
拠り所に会話が新たに発生することが期待できる.しかも見知らぬ人との
出会いは多くの新しい視点・発想を各自に提供するため,極めて意義深い.
本研究では,ユーザの置かれた物理的な位置/状況を共有する人々の間で
活発な議論が展開されるような機構を構築しようとしている.ただし参加者が
互いに顔を付き合わせて話ができるような小規模なスケールではなく,もう少し
広い空間(数十メートルから数百メートル)を想定する.ネットワークの導入に
よって,そこにいる人々の間で情報交換が可能になる一方,さらに直接会っての
会話に発展することも有り得る.なお提案システムはユーザがある物理的
一定範囲に入ったことを自動的に判断し,彼らの間に情報交換のリンクを
設定し,会話への参加を促す.
- *
インフォキャストのコンセプト
勝野恭治、本田良司(日本IBM)
Recently, much attention has been payed to the research about real
world navigation systems. However, the current systems are not
appropriate for our diary use because they are designed for closed
and limited environment, e.g. within a museum. On the other hand,
we are living in the open environment and thus we need a next
generation system for such a real environment. We propose concept of
a real world navigation system called {\em InfoCast}. It is designed
for the real world usage and thus could be used in the open environment.
15:40 - 17:00 Web 座長 角田博保(電通大)
- WEBショップにおける店員エージェント
坂口基彦、杉浦 淳、神場知成(NEC)
オンラインショップでは、画像や簡単な説明とともに販売する商品が単に羅
列される場合が多い。したがって商品に対して知識を持たない買手は、要求
にあう商品を選択できない。そこで本稿では、オンラインショップ上で、実
世界の店員のように、対話を通して買手の商品選択を支援する店員エージェ
ントを提案する。本エージェントは、1)不必要な対話を削減するインタフェー
ス、2)店員と買手、双方からトピックを切り出すことが可能な対話、3)過去
の対話内容を反映したアドバイスのパーソナライズ、などの特徴を持つ。ま
た、本エージェントは生産受注方式(BTO)パソコンのスペック選択支援に適
応され実際のサービスとして公開されている。
-
Document brokering with agents: Persona approach
Junichi Suzuki, Yoshikazu Yamamoto(慶応大)
The explosive growth of the Web places a new demand:
how Web documents can be personalized for an each user.
This paper addresses this demand and proposes an agent-mediated
solution. Our system named Persona can provide an appropriate
presentation for different users or user groups on the fly.
We also experimented an application to support the distributed
software development using Persona. Agents make it easy to
dynamically process documents and distribute them.
- *
擬人化エージェントを用いたパーソナライズ情報の表示方式
小池雄一、神場知成、古関義幸(NEC)
本稿では、ユーザ満足度と複数手法の結果表示に重点をおいた手法である、
擬人化エージェントを用いたパーソナライズ情報の表示方式を提案する。こ
の方式では、画面上に配置されたエージェントが表示画面上を歩いてユーザ
が興味を持つ情報を示す。このため、ユーザが「たくさんの情報の中から自
分に適した情報をエージェントが選んでくれた」という形でパーソナライズ
サービスの効果を確認することが可能である。また、一人の擬人化エージェ
ントが一つのパーソナライズ手法に対応するため、エージェントの数を増や
すことで複数パーソナライズ手法を表示することが可能となる。また、パー
ソナライズを行うにはユーザプロファイルを取得する必要があるが、本方式
ではエージェントとの対話でプロファイルの取得を行うため、取得プロセス
がユーザにとって自然であるという特長を持つ。
19:00 - 21:00 ポスターセッション 座長 大渕竜太郎(日本IBM)
- 音声情報に特化した音リンク情報埋め込みエディタ
青柳滋己, 高田敏弘、佐藤孝治、広津登志夫、菅原俊治(NTT光ネットワークシステム研究所)
動画像データ中のオーディオストリーム内へリンクを埋め込むためのオ
ーディオマークアップエディタについて述べる.本オーディオマークアップ
エディタは,通常のビデオブラウザとしての動画像再生/早送り/巻き戻し
といった機能の他に,人の声へのマークアップ作業を主な対象とした,音声
の動的尺度を用いた音声区間サーチ機能を備えている.
- 静止画を用いた疑似3次元空間構築ツールの設計と実装
小川剛史、塚本昌彦、西尾章治郎(大阪大学大学院工学研究科情報システム工学専攻)
近年,仮想空間を用いたコミュニケーション支援や遠隔作業支援に関す
る研究が盛んに行われている.これらで利用される仮想空間は幾何学モデル
から構築されているために,現実空間をモデルとする仮想空間構築の際に多
大なコストが必要となっている.そこで,本研究では,仮想空間構築コスト
を削減することを目的として,静止画を利用したシーンベースの擬似三次元
空間を構築するツールの設計と実装を行った.
- Sync/Mail: 話し言葉の漸進的変換に基づく
リアクティブなマルチモーダルメールツール
松永 悟1, 松原 茂樹2, 河口 信夫1, 外山 勝彦1, 稲垣 康善1
(1名古屋大学大学院工学研究科, 2名古屋大学言語文化部)
発話,ポインティング,キータイプによる入力に対して,即座に応
答可能なマルチモーダルメールツールSync/Mailを提案する.Sync/Mail
は,マルチモーダル入力を,メール処理の最小単位に対応したメール処理
言語文に随時変換し,一文全体が生成された段階で処理を開始する.これ
により,ユーザは入力途中の早い段階で実行結果を確認でき,効率的にタ
スクを達成できる.
- 学会事務作業支援システムSSSSの試作
平栗 覚1,山本 吉伸2,安村 通晃1
(1慶応義塾大学 政策メディア研究科, 2電子技術総合研究所)
学術論文の審査過程は煩雑であり,運営委員への負担が大きい.
本研究では,学会活動の定型的な作業を自動化し,作業変更に柔軟に対応す
る学会事務作業支援システムを試作した. システムはWWWブラウザを
基本インタフェースとしており,作業の進行状況や今後の予定などをモニ
ターして,関係者に自動的に電子メールで連絡する等,論文査読プロセス
における作業の自動化を実現した.
- シーングラフを用いたグラフィックスライブラリとオーディオライブラリの融合
永山 悟,小池 英樹
(電気通信大学大学院情報システム学研究科情報システム運用学専攻)
本研究では,グラフィックスライブラリとオーディオライブラリを1
つのライブラリに融合することで,これらを同時に利用することを可能と
した.また,両ライブラリの融合にシーングラフAPIを用いることで,
音を作成するノードを接続するだけで容易に3次元音を利用できるように
なった.グラフィックスライブラリには,疑似的に3次元音を生成できる
ものもあるが,本研究では,より現実的な3次元音を生成できるデバイス
を用いており,より仮想空間に現実感をもたせることが可能である.
- 位置情報に基づくビデオデータ検索
平川 正人, Kamalanath Priyantha Hewagamage, 中田 浩志,
市川 忠男
(広島大学工学部)
携帯型ビデオカメラで撮影されたビデオデータを対象とした検索シ
ステムについて提案する.従来のビデオデータ検索のようにパターン認識
技法を用いて内容抽出・理解を行なうのではなく,ビデオデータが撮影さ
れた“場所”と“時間”を利用してビデオデータの検索を行なう.「昨年
の次男の幼稚園運動会ビデオが見たい」などといった要求に対して,莫大
なコストがかかるパターン認識技術を使うことなく,手軽に目的のビデオ
データを検索することができる.
- "Claymore": 付加情報によって強化された直接操作手法に基づく3次元モデリングツール
大芝 崇1, 田中 二郎2
(1筑波大学 大学院 博士課程 工学研究科, 2筑波大学 電子情報工学系)
我々は,直観的な操作が可能な3次元モデリングツール"Claymore"
を開発している.
ユーザに直観的なインタフェースを提供する際には「直接操作」の
手法が有効である.しかし,本来「直接操作」手法は2次元の操作系に親
和性があるものである.我々は3次元のオブジェクトへの操作系にこの手
法を適用したが,単に従来の「直接操作」手法を適用するだけでは不十分
であった.
そこでユーザに「3次元カーソル・地面・物体の影・バウンディン
グボックス」等の付加情報を提示することによって,ユーザの操作に対す
る理解力を支援する手法を提案する.我々はこの手法を『強化された直接
操作』と呼ぶ.ここで,付加情報を半透明表示することによって,本来操
作の対象となる3次元物体の表示を阻害しないように工夫した.
そして,実際にこの手法を実装した3次元モデリングツール
"Claymore"を開発した."Claymore"において提供される『強化された直
接操作』を用いることにより,
ユーザは従来のモデリングツールでは作成することが困難であったような3次
元オブジェクトを手軽に作成・編集することが可能である.
- Ultra Magic Keyによるフィールドプレーヤーの操作原理
臼田 裕(ソニー株式会社 プラットフォームソフトウエア開発センター)
We designed the new "Interactive Field" concept using Ultra Magic
Key. The intearctive field is developed for the multimedia interface using
"Paper". This "Interactive Field" is designed as the field which is able to
handle multimedia information referencing, reception etc. A user can
operate on a lot of multimedia information dynamically within the
"Interactive Field" using Ultra Magic Key. When the user operates on the
multimedia information, the user can use Field Player which is an
operation tool for the "Interactive Field". We will explain the concept of
"Interactive Field" and the operating method of Field Player using Ultra
Magic Key.
12月3日(木)
9:00 - 10:10 共有空間 座長 未定
- 同室感通信
原田康徳(NTT)
単純なテレビ会議システムでは,離れた部屋を窓ごしに覗く,
という感覚を与えるのに対して,
本研究は離れた部屋にいる人と同じ部屋にいる感覚「同室感」
を与える通信を提案する.
カメラとプロジェクタを組み合わせ,
面の表面とその手前の空間を遠隔地と共有することができる「共有面」
を部屋中に配置し,同室感を与える.
共有面は,コントラストの向上と発振防止のために,偏光板を用いて実装する.
また,共有面の性質から3地点以上の共有も容易である.
- *
引用可能なビデオメッセージ〜時空間を超える会議システム〜
高田敏弘、原田康徳(NTT)
テキストベースの電子メッセージに存在しながらボイスメールや
ビデオメールに欠けている機能に,『引用』とそれに対する『コ
メント付け』がある。本稿では,引用機能を持つビデオメッセー
ジシステムを提案するとともに,共有面を用いたその実装,およ
び,それに付随する研究課題を提起する。ビデオメールやビデオ
会議システムは,この引用機能を持った時点ではじめて,時間と
空間の壁を克服する道具となり得るだろう。
- *
仮想社会におけるユーザ行動の検索と再現
倉持陽子、藤代一成(お茶の水大)、内藤剛人(ソニー)
3Dチャットに代表される従来の仮想社会では, アバタの表情やジェスチャ, 位
置情報, テキストなどが組み合わされたマルチモーダルなインタラクションを
記録するシステムは存在しなかった. そこで, 我々は3Dチャットシステム上で
これらの情報を記録・検索・再生するシステムを開発している. 本論文では,
記録と検索のフェーズに着目し, アバタの行動履歴を検索する面からシステム
の拡張をはかった. さらに, 現在試作段階ではあるが, 効果的な再生と検索を
行うために必要となる, インタラクションの記録を解析する手法を紹介する.
10:20 - 12:00 視覚化・制約 座長 古関義幸(NEC)
- HiRise:GUI構築のためのインクリメンタルな制約解消系
細部博史(東大)、松岡 聡(東工大)、米澤明憲(東大)
HiRiseは,1次等式からなる制約階層をインクリメンタルに管理する制約解消
系である.インクリメンタル性のために,HiRiseは,数千個の連立された制約
を実時間で解くことができ,インタラクティブなGUIの構築に適している.ま
た,内部的に階層線形系を利用した数値的アルゴリズムを採用しているため,
従来の局所伝播法による制約解消系よりも信頼性が高い.
-
表計算ソフトウェアにおけるセルの依存関係の視覚化
五十嵐 健夫(東大), Jock D.Mackinlay, Bay-Wei Chang, Polle T. Zellweger(Xerox)
表計算シートは、表面に見える数値情報の層に加えて、セルの依存関係によって
規定されるデータフローグラフからなる情報層を持っている。
本発表では、このように複数の互いに関連しあう層からなる情報を対象とした、
効率の良い理解および操作のためのインタフェースとして
Fluid User Interface の考え方を紹介し、そのアプリケーションの一例として
表計算シートの構造の視覚化手法について説明する。
具体的には、アニメーションおよびインタラクションテクニックの工夫によって、
主要な情報である数値情報を隠蔽することなく、通常目にすることの困難な
セルの依存関係をユーザに対してわかりやすく提示し理解を助ける手法を紹介する。
- *
ログ情報の視覚化による不正侵入検知システム
高田哲司、小池英樹(電通大)
今日、コンピュータセキュリティの重要性について疑う余地はない。
主なセキュリティ対策は、ファイアウォール等のセキュリティシステムの構築と
定期的なシステム監視の二つである。しかし多くの運用環境では後者の
システム監視がおろそかにされがちである。
そこで本研究では不正侵入検知を目的としてログ情報の視覚化を行った。
ログ情報が視覚化される事により、従来の文字による表示より、より直感的に
多くの情報を認識でき、また複数のログ情報が一つの表示に統合される事で
不正侵入検知作業を容易にする。
本研究では前述の考えに基づき試作したログ情報視覚化システムを紹介する。
- *
プログラムの構造情報の視覚表現を用いた動作情報の視覚化
鈴木宏紀、山本晋一郎、阿草清滋(名大)
プログラムを理解するには,プログラムの様々な側面を理解する必要がある.
具体的には,プログラムを静的に解析した情報だけではなく,プログラムを実行
させることで初めて得られる情報も不可欠である.しかし,一般的にはプログラ
ム動作情報は膨大な量になり,それを理解するのは困難である.そのような膨大
な量の情報は,視覚化することで利用者の直感的な理解を促すことができる.ま
た,図表現は文字表現よりも多くの情報を簡潔に表示することができ,同時にユー
ザインターフェイスも提供できる.
本稿では,まず構造の視覚表現から動作の視覚表現を生成する一般的な枠組みと
その手法を提案する.最後に,その手法を用いたツールを作成し,その効果を確
認する.
13:00 - 15:00 実世界指向 座長 竹林洋一(東芝)
-
IconSticker: 実世界に取り出した紙アイコン
椎尾一郎(玉川大)、美馬義亮(日本IBM)
従来のコンピュータデスクトップでは、文書やアプリケーションを表すアイコンを、
使用者が画面上にわかりやすく自由に配置して、知的活動を行っている。
デスクトップメタファのアイコンを、画面から実世界に取り出す手段を提供すれば、
実世界においてもアイコンを利用した情報の整理や伝達を実現できるであろう。
本論文では、人間と機械がともに認識可能な情報を印刷した紙片によるアイコン、
IconStickerを提案し、その応用例を述べる。
アイコンの図柄、アイコンの名前、機械が読める識別符号(現在のプロトタイプ
ではバーコード)を印刷した紙片である。アイコンを出口アイコンに重ねる操作で、
紙のアイコンが印刷される。印刷されたバーコード部分を読み取ることで、
もとのアイコンにアクセスできる。
- Augment-able Reality:実空間と電子空間を融合した情報交流
暦本純一(ソニーCSL)、綾塚祐二(ソニー)、林一輝(東工大)
これまでに提案されているaugmented reality(拡張現実)システムの多くは、実
世界状況(位置や認識した事物など)に対して関連づけられているデジタル情報
を実世界中のコンテキストに従ってブラウズする手段を提供している。一方、
実世界中の利用者が任意のコンテキストに対して情報を付与する機構を明示的
に支援しているものは少なかった。本論文では、装着型コンピュータや携帯型
コンピュータを介して、実世界の位置や事物に対して利用者が自由に付与する
機構(augment-able reality)を提案し、実際に試作したシステムについて議論
する。
- *
テディの目:現場登録型対象データベースの試作
堤 富士雄(電力中研)
ビデオカメラから動画像が取り込まれつつある現場で即座に登録し、過去の類似対象
を検索可能なデータベースのプロトタイプを紹介する。たとえば利用者は今見ている
設備に関連する過去の情報をその場で取得可能であり、また見ている現象を記憶の薄
れない内に関連情報と共に登録できる。提案手法は画像中の局所的な色配置情報を利
用しており、従来の画像認識での学習ステップ(対象の数が多いと時間がかかる)
や、対象へのバーコード類の添付の必要がない。
- *
触覚的インタフェースによるウィンドウシステム
塩澤秀和、野田純也、岡田謙一、松下 温(慶応大)
今後,実世界指向インタフェースが普及すると,従来のGUIとそれとを結ぶユー
ザインタフェースが必要になるだろう.そこで本稿では,机型実世界指向インタ
フェースに融合した触覚的ウィンドウシステム(「ワサビ」)を提案する.本シ
ステムでは,GUIの画面を机型スクリーンに投影し,OHPシートの位置にウィンド
ウを投影することで,ユーザがウィンドウを紙のようにつかんで動かせるように
する.OHPシートの移動はカメラを通して認識されており,投影されたウィンド
ウも追従して移動する.さらに,実世界指向インタフェースとGUIの特長を融合
させる可能性を示すため,ウィンドウを置く位置に応じてその表示サイズを変化
させるという,タスクの状態に応じたウィンドウサイズ制御機能を実装した.
- *
やわらかインタラクション: 「やわらかい世界」を対象にしたユーザインタフェース
伊賀聡一郎、新西誠人、明関賢太郎、樋口文人、安村通晃(慶応大)
We propose a novel human-computer interaction style called Approximate
Interaction. Approximate Interaction aims at our ambiguous but
practical actions in our daily world such as pointing a finger to
count something or measuring the size of the artifacts by multiple
fingers or hands, and so on. Our basic motivation is to utilize these
common and intimate physical actions to interact with the computer
systems.
Here we describe where our target world of Approximate Interaction
concept exists, and we illustrate the concept with three prototype
systems called Tokisoba, Yubishaku and Kirifuki to specify our
research issues. The prototype systems allow the users to ``tap,
trace, push and blow'' by their hands, fingers and breath in measuring
or manipulating objects in real space or in computer space.
16:00 - 17:30 デモセッション 座長 神場知成(NEC)
18:00 - 20:00 懇親会
20:15 - 20:45 アトラクション (有料・オプション)
12月4日(金)
9:00 - 10:10 検索インタフェース 座長 未定
- HishiMochi: 非線形ズーミングを用いた動的検索システム
豊田 正史、増井俊之、柴山悦哉(東工大)
我々が日常的にコンピュータ上で扱うテキストデータは、ある程度人手で分類
されてはいるものの、データベースの様に形式的な検索手段がないことが多い。
例として、ホームディレクトリ、Yahoo!などのWWWディレクトリサービス、が
挙げられる。HishiMochiは、階層的に分類された文書データ中に分散している
目的のデータを、容易に検索できるシステムである。キーワードを一文字入力
する度に検索および結果表示を行う動的検索をサポートしており、検索の結果
は非線型ズームとアニメーションを用いて表示される。また、レイアウト編集
の機能も統合されており、個人用のブックマークなどの作成にも利用できる。
- *
ブラウジングとキーワード検索を結合したGUI部品LensBar
増井俊之(ソニーCSL)
情報視覚化を利用した検索システムが各種提案されているが、
一般的なGUIの枠組の上で
キーワード検索とブラウジングによる検索を統合して使えるものは少ない。
本論文では、一般的なスクロールバーに以下のような拡張を加え、
大きなリストに対しキーワード検索とブラウジングを効果的に
併用できるGUI部品"LensBar"を提案する。
- *
提示型インタフェースによる情報探索システム
水口 充、浦野直樹(シャープ)
インターネットや大容量メディアの普及などにより
大量の情報やコンテンツが利用可能となったが、
欲しい情報をどのようにして手に入れるかが問題となっている。
欲しい情報が明確であれば断片的な手がかりからでも
動的検索や複数の検索手法を組み合わせることで効率的に検索できる。
しかし、「何か面白いものが見たい」というような
漠然とした要求しか持っていない場合、
ユーザが検索のための手がかりを明らかにするのは難しいし、
検索の操作が煩雑に感じられることが多い。
これらの問題に対し本稿では、
幾つかの候補を自動的にユーザに提示して選ばせることにより
選択ボタン一つで操作できることを目指す
提示型インタフェースの考えを提案し、
これを用いた情報探索システムの実装例を紹介する。
10:20 - 11:50 表示法 座長 伊知地 宏(富士ゼロックス)
- 超小型画面向けメッセージ表示インタフェース
坂上秀和、神場知成(NEC)
本論文は、極く限られた表示領域を持つ小型情報端末におけるメッセージ表示イ
ンタフェースについて述べる。小型端末は領域の限界により十分な情報量を得る
ことができないため、可能な限りプレゼンテーションを簡潔にする必要がある。
本稿で述べる方式は、予め定義された辞書および規則に基づき、メッセージ中の
文字列を、同値の、より短い文字列に置き換えることで表示情報の短縮を図るも
のである。また、適切に短縮された文字列は、元の文字列以上に直観的かつ明瞭
な印象を与えるため、本方式は内容理解の際の利用者の負荷を軽減する効果も併
せ持つ。本稿では、本方式および試作システムについても述べ、実際の効果を確
認する。
- *
携帯端末におけるWebブラウジングユーザインタフェース
杉浦 淳(NEC)
スクリーン表示面積が小さい携帯端末では、文書の一覧性がなくス
クロール操作が頻繁に必要となるため、文書ブラウジングは容易な
作業ではない。本稿では、携帯端末でのWebブラウジングを対象とし、
日々のブラウジングに必要なスクロール操作を最少化するための予
測インタフェースを提案する。具体的には、ユーザがWebページ中で
次に利用するであろうハイパーリンクを過去のブラウジング履歴から
予測し、それをWebページの先頭に挿入する。
これにより、ユーザはスクロールして必要なリンクを探さずとも
目的のページへ遷移することが可能となる。
- *
電子紙芝居
寺田 実(東大)
紙芝居は古典的な情報提示の手段である. 個々の絵を順次提示することによ
り, ストーリーを伝えるのだが,その際に, 紙をめくる早さの変化や途中での
停止などを通じて,より豊かなコミュニケーションが行なわれる.
われわれは複数のアプリケーションに対して情報提示のためのシステムを検討
しているうちに,紙芝居の有効性に気づき, これを計算機上での情報提示手段
として実装してみた. その結果, きわめて単純な仕組みであるにもかかわら
ず,有効性と一般性をもったツールが作成できた.
- *
Bubble-Gum: VPSのための多視点遠近画法と自動レイアウト機能の融合
宮城幸司、田中二郎(筑波大)
ビジュアル・プログラミング・システムにおいて多視点遠近画法と自動レイア
ウト機能は、必須の機能である。しかし従来は、多視点遠近画法と自動レイア
ウト機能について別々に考えられることはあっても、両機能の融合がもたらす
メリットについて研究されてこなかった。我々は両機能を融合することにより、
インタラクティブ性を向上させ、計算プロセスの重複をなくした。本論文では、
両機能を融合させたアルゴリズム多視点遠近スプリング・モデルと実装したシ
ステム``Bubble-Gum''について述べる。