WISS'97 Program
*印のついたものはショート論文(発表20分)、
それ以外は一般論文(発表30分)です。
12月3日(水)
14:00 - 15:10 マルチメディア(1) 座長 竹林 洋一 (東芝)
- リンク情報付き音データへのアクセス法の検討
青柳、佐藤、高田、廣津、尾内 (NTT)
WWW(World Wide Web)ではテキスト等に埋め込まれたリンクを辿ることにより、
ネットワーク上の他のテキストや静止画・動画・音といった情報の参照が可能である。
しかし、リンク情報が埋め込まれているのはテキストと静止画のみであり、
音や動画といった連続メディアの内部にリンク情報を埋め込むことはできなかった。
我々は連続メディアの中にリンク情報を埋め込むことを可能にする枠組みの考案、
試作を行なっている。本稿では音のみのデータと音付き動画像を対象に、
音データ内部へのリンク埋め込み方法及びそのリンクへのアクセス方法を提案する。
- *
IntelligentPadにおけるハイパームービー・フレームワーク
田中(一)、田中(譲) (北大)
ハイパームービー・フレームワークは動画像にインタラクティブ性を付加し、
様々な世界を構成することを可能にするための一般的なフレームワークである。
IntelligentPadは部品となるパッドの貼り合わせと機能合成により、
色々なアプリケーションを構築することができる。
IntelligentPadにおいてハイパームービー・フレームワークの要素は部品化され、
ハイパームービー・アプリケーションの容易な構築・再編集、
部品の再利用、ムービーへの高度で柔軟なインタラクティブ性の付加を可能にしている。
- 応答性/対話性を重視したビデオマークアップエディタ
高田、有村、尾内 (NTT)
動画像データのマークアップを支援するエディタについて報告する。
今回実現したビデオマークアップエディタは、
動画像中の物体を含む領域の自動追跡を行なうとともに、
領域追跡中に自動的に画像認識精度を落として計算量を減らすことにより、
リアルタイムでの動画像処理を可能にするものである。
その結果、動きの穏やかな動画像データに関しては、
認識精度を落として処理速度を優先させることにより、
全体の作業量が減少することが確認された。
15:10 - 16:10 マルチメディア(2) 座長 古関 義幸 (NEC)
- WWWにおける映像データへのリンク情報付与のための枠組み
佐藤、高田、青柳、廣津、尾内 (NTT)
本稿ではWorld Wide Web(WWW)上で動画や音声などの連続メディアデータを構造化し、
それらに対してリンク情報を付与するための枠組みを提案する。
これにより、ネットワーク上のテキスト、静止画、動画、音声などの様々なデータを結合し、
それらをインタラクティブに操作することが可能となる。
またNetscapeのLiveConnect機能を用いた試作システムの実装方法について説明する。
- *
演奏フィードバックを利用した伴奏システムの時間制御
堀内 (千葉大)
リアルタイム・インタラクティブ・システムとして伴奏システムをとらえた場合、
その時間制御は非常にシビアであり、
10ミリ秒オーダの遅れは伴奏に影響を及ぼしてしまう。
一方、コンピュータの演奏出力をMIDI音源で行なう場合、
コンピュータがMIDI信号を音源に送ってから実際に音が立ち上がるまでの
遅延時間は20ミリ秒程度といわれている。
本研究では、コンピュータの演奏をシステムにフィードバックすることにより、
音源の発音時間遅れを補償する手法を提案する。
16:40 - 17:40 検索 座長 神場 知成 (NEC)
- *
単語間ネットワークを基本とする個人情報基盤システムとそのインターフェース
五十嵐、田中(英) (東大)
我々は、
日々獲得される個人的な情報をユーザの管理の元に効率よく蓄積、
構造化および維持をおこなう情報システムの構築を目指している。
このようなシステムは、単に記憶を補助するメモとして役に立つだけでなく、
エージェントに代表される知的インタフェースを実現する上で不可欠な
ユーザの個人的知識を提供する機能も期待できる。
本稿では、
その基本情報構造および粒度の細かい知識の継続的な
記録・検索と再構造化をサポートするインタフェースについて紹介する。
- *
文献検索支援インターフェース DualNAVI
西岡、高野 (日立)
DualNAVIはキーワード検索および文書間の類似性を用いた連想検索を行う文書
検索インタフェースである. さらに, DualNAVIは検索された文書集合から,
その文書集合を特徴付ける単語(以下, 特徴語)を動的に抽出し, 特徴語間の共
起関係をグラフとして表示する. 検索された文書がどの特徴語を含むか, あ
るいは, ある特徴語がどの文書に属するかといった関係は簡単な操作で確認す
ることが可能である. この機能は検索結果を理解するのに役立つばかりでは
なく, 検索の絞り込みやキーワードの発見に有効であり, 効率的な検索が可能
となる.
- *
情報の渡り歩きを支援する検索システム
水口 (シャープ)
一般的な検索システムは検索したい情報について何らかの形で説明すると答えを返すという形態を採っている。
しかしユーザ自身が何を欲しているかが明確でないことも少なくない。
このような状況に対して、
気に入った情報に関連する情報を効率的にブラウズできる検索システムが有効であると考えられる。
本稿では表示されている部分文字列を利用しながら曲名や歌手名を辿るように探していくことの出来る音楽検索システムを紹介する。
19:00 - 21:00 ポスター/ビデオ 座長 松岡 聡 (東工大)
- Intimacy as an Index for Understanding Human-Computer Interaction
Fels, Mase (ATR)
This paper argues for a new index of performance based on intimacy for
analysing and predicting human-computer interface and computer agent
success. Intimacy is defined as the subjective match between the behaviour
of a device and the operation of that device. The main supposition
of this paper is that a high degree of intimacy with a device enables
communication of ideas and emotions effectively through the device as
if it were an extension of the user. Four main factors are considered
which influence the level of intimacy: learning, responsiveness, attention
and association with self or familiar objects. Responsiveness includes:
repeatability, adaptation and functionality. Each of these influences the
level of intimacy a user can achieve with a device as well as the speed
of skill acquisition. Techniques for measuring intimacy are included in
the discussion.
- データベース検索結果の3次元視覚化
大東 誠、田中 譲 (北大)
データベースに蓄積された大量の情報を効率良く把握するための
3次元視覚化手法を提案する。
そのための機構を対話型3Dソフトウェア構築システムIntelligentBox上で実現した。
この視覚化機構は、
IntelligentBoxでデータベースを利用するためのProxy機能を持ったボックス部品と
検索されたレコード中から必要なレコードを選択するためのScope機能を持ったボックス部品とで
実現される。
これらの部品の対話的な組合せによって、
データベースから検索されたレコード集合の多様な3D表現が、
エンドユーザにも自在に定義できる。
- 漸進的な音声言語処理に基づくマルチモーダルファイル検索システムSync/Search
松永、松原、河口、外山、稲垣 (名大)
音声言語インタフェースを持つ従来の情報検索システムの多くは,入力
を文単位で処理する.それに対して我々は,音声言語文をその出現順に
語単位で解釈するファイル検索システムSync/Searchを構築した.Sync/Search
は,単語およびポインティングをその入力毎に解釈し,文の入力途中であっ
ても,検索条件が決まり次第検索を実行する.
ユーザは検索結果を早い段階で確認できるため,入力途中でもより適切な
条件に訂正することができ,効率的な検索が可能となる.
- スケジュール管理機能を備えた協同マルチメディア文書作成支援
守田、麻生 (山口大)
本研究では, 文字, 数字, 音声, 静止画, 動画などの複数の情報の表現形態を統合して
書かれた文書を複数人で作成する作業を支援するシステムを構築する.
文書作成のようなクリエィテブな作業では, 作業スケジュールをあらかじめ定めること
が困難なため, 作業をしながら担当者らが作業スケジュールを容易に変更修正できる
視覚環境を作成する. 文書作成ウインドウはユーザが作成したスケジュールによって管
理される. 文書は スケジュールが示されている視覚環境から担当している者のみが操作
でき, 担当者同士によるレイアウトなどの意見調整が可能になっている. 管理プログラ
ムはスケジュールにしたがって作業が円滑に進むように, ユーザの作業状況に基づき作
業の遅れや作業の進行状況, 他の担当者の行動, 期限まじかの作業などが作業スケジュ
ールをユーザの指示に基づき選択的に表示しているため, 協同文書作成がしやすい作業
環境が実現されている.
- 直接操作を用いた三次元モデリングツール"Claymore"
光延、田中(二) (筑波大)
様々な三次元画像環境の構築において、三次元形状を製作するモデリング作
業は必須となる基本作業である。本発表では、三次元の立体図形を扱うため
の要素技術として、従来の三面図やメニュー・アイコン類を用いない、物体
の直接操作による座標入力方法について述べる。そして、三次元での物体の
編集に必要不可欠である、物体の位置と物体の姿勢を直接操作によって指定
する方法について述べ、これらの直接操作手法を用いて作成した、モデリン
グツール Claymore について述べる。
- 設計ノウハウ検索のためのキーワード検索インタフェース
倉部 淳、植田 かおる、
伊知地 宏、飯田 廣文(富士ゼロックス)
設計ノウハウは、専門家以外では理解できないくらい厳密でかつ細分化
されたキーワードを用いて分類されている。このため、適切なキーワー
ドを選択して、必要な情報を得ることが大変難しい。我々はキーワード
がカテゴリに分類されていることを利用し、対話的な検索の中で、ある
カテゴリに属するキーワードとそのキーワードを用いたときの検索文書
例の組を提示するインタフェースを開発した。これにより、必要な設計
ノウハウ文書を得るためのキーワードの確定が容易になった。
- 3次元ウェブブラウジング環境構築ツールキット・システム
村上 悌治、田中 譲 (北大)
著者らは,対話型3次元ソフトウェア構築システムであるIntelligentBoxを用いた,
ウェブページのブラウジングやレイアウトや利用法を提案する.
あるウェブページのイメージをテクスチャとして3次元形状に貼り,
これを建築材料として3次元空間内に持ち込むことにより,
他の機能部品との組み合わせによって様々な環境を自由に構築することができるようになる.
これにより,ユーザは自由にウェブ空間をデザインできるようになる.
- Distorition技術を用いたシーンの自動簡略化手法
井上、小池 (電通大)
仮想現実感システムに代表される対話的な3次元コンピュータグラフィックス(CG)
システムにおいては、
仮想空間内をいかにスムーズに動き回ることができるかが重要な問題である。
ところが、複雑でリアルな仮想空間を追求することと、システムに対話性を確保することは相反する欲求であり、
トレードオフの関係にある。本稿では、シーンの簡略化を自動で行なうことによって、
複雑な仮想空間内においても対話性を得る為の手法を提案する。
シーンの簡略化には、Distortion技術の一つであるFractalViewsを用いた。
- 感情を扱うインターフェースの構築にむけて
穴吹 (東大)
本研究では, 感情を扱うインタフェースの構築を目指している. 本発表では,
表情や音声などの計測可能な情報に表出する感情を客観的に評価することを目
的とした, 感情のモデル化に関する実験について報告し, 心拍数と皮膚抵抗水
準の増加から感情喚起有無を判断することが可能であり, この増加を基準とし
た感情の種類の区別も可能であることを示す. また, このモデル化に基づいた,
感情を扱うインタフェース構築に関する考察も行う.
- 非WYSIWISグループウェアの設計課題について
横田 裕介、中村 達也、
木實 新一、垂水 浩幸、上林 彌彦 (京大)
多くのグループウェアでは画面表示のポリシーとしてWYSIWIS原則が採用され
ている。しかし、協調作業の内容によっては非WYSIWISであることが要求され
る場面があり、このような作業を支援するシステムが必要である。VIEW Media
は、非WYSIWISな協調作業支援も可能な共有ハイパーメディアシステムである。
環境の概念に基づくパーソナライズの実現によって非WYSIWISの状況の下で協
調作業を支援するための方法、およびそこから生じる問題点について述べる。
- 3次元リンク構造を用いた多変量解析結果の視覚化
橋場、若松、岩城 (NTT Data)
各種統計やアンケート調査の集計など多次元・大量なデータに対しては,
個々のデータを個別に分析する事も重要であるが,
近年のマーケティング分野で利用されているように,
多変量解析によって統計モデルを作成し,
データ間の関係を把握する事も重要である.
しかし,元々大量のデータに対してデータ間の関係を把握するためには,
大量の解析結果に目を通さなければならず大変な労力が必要である.
そこで,多変量解析によって得られるデータ間の類似性や関連性に着目し,
これらを視覚化する手法を提案する.
- WebRoom:身体的動作・感覚を利用したWWWブラウザ操作と発想支援空間の構築
津田、安村 (慶大)
人間の身体知を利用して構成される空間メタファに基づく
インタラクティブシステムを提案する。本システムでは、
従来「記憶」していた情報を、身体的な動作や感覚に分散
させることで、ユーザの周囲の「身体化情報空間」による
情報操作環境を形成する。ユーザの動作の情報や位置など
は、複数のカメラやジャイロセンサによって検出される。
検出された身体動作とWWWなどの情報を連動させ、動作に
呼応して情報提示を行う。これにより、身体の動作感覚を
手がかりにした情報の操作が可能となる。
- Naive Constraint Solverについて
白川 (近畿大)
Naive Constraint
Solverは拘束のある図形の作画を簡単に行うことができるシステムである.
このシステムでは線分と円弧を基本図形にしている.線分には定規を対応させ,
その座標には1次元座標を対応させる.
円弧も直線と同様の扱いをする.実際には仮想的な定規,仮想的なコンパス,
仮想的な分度器と仮想的なピンが用意されインタラクティブに
作画が可能であるようにしている。
12月4日(木)
9:00 - 10:40 視線とペン 座長 黒須 正明 (静岡大)
- 視線からのユーザ情報の解析〜翻訳支援システムを題材として〜
高木 (東大)
これまでに視線視線の高速性と正確性を生かしたインタフェースが数多く開発
されてきた。しかし視線にはもう一つ、ユーザの思考過程と知識状態が現れる
という特長がある。そこで、視線からこれらの情報を解析するための条件を明
らかにすることを目標に研究を進めてきた。本稿ではこれまでの研究結果に基
づいて開発した翻訳支援ツールを利用しているユーザの視線を解析し、ユーザ
の思考過程やスキルレベルを推定できる可能性を示す。
- *
視線インターフェースにおける選択過程と取得過程の識別
大野 健彦 (NTT基礎研究所)
視線インタフェースにおいて,利用者が表示された情報を見ているのか,
それとも視線による選択をおこなっているのかを視線から識別する試みをおこなう.
両者を識別することによって,
従来視線インタフェースにおいて問題であった誤選択を軽減することが可能になる.
識別方法の有効性を調べるために透過型メニューインタフェースを試作し,
予備実験をおこなった.その結果,
識別方法を導入することで効率が向上することを確認した.
- ペン操作に基づいたプログラミング環境
赤池、角田 (電通大)
ペンのみを利用したプログラミング環境(PEP)を構築した。特定のプログラ
ミング言語(今回はC)に限定することによって、入力したいシンボルを予測
することが可能となる。この予測を最大限に活かして、より少ないストロー
クで希望のプログラムを入力できるように工夫した。文字入力にはユニスト
ロークを拡張して利用している。文字入力速度を向上させることにより、ペ
ン入力が本来持っている利点(直接指示可能、図形入力可能)を最大限にいか
すことができた。本論文では、PEP の設計思想、試作、および、評価について述べる。
- *
動的パタンマッチを用いた文章入力手法
増井 (ソニーCSL)
様々な環境において計算機を使用するためにペン型入出力装置が有望と考えられるが、
ペン計算機では文章を高速入力することが難しいため普及が遅れている。
本稿では、
動的曖昧検索と予測にもとづいた高速文章入力手法を提案する。
単語の読みや手書きストロークの部分指定及び入力位置直前の文字列からの予測により
絞り込んだ侯補単語の集合の中から
目的の単語を選択するという操作を繰り返すことにより、
高速に文章を入力することが可能である。
10:40 - 14:00 クルーズ / 昼食
14:00 - 16:10 視覚化 座長 平川 正人 (広島大)
- Hyper Mochi Sheet:複数フォーカスズーミングエディタにおけるナビゲーションのためのフォーカス予測手法
豊田 正史、高橋 伸、柴山 悦哉(東工大)
複数フォーカスのズーミングを用いた階層ネットワークのエディタにおけるナ
ビゲーションを、適切なフォーカスの予測を用いて支援するユーザインタフェー
スを提案する。このインタフェースはフォーカス時のノードの適切なサイズを
予測し単純な操作でのナビゲーションを可能にする。さらにナビゲーション時
には必要なフォーカスを予測選択し、ユーザの意図にあったレイアウトを提供
する。この手法を汎用のライブラリとして実装し、ビジュアルプログラムのエ
ディタに応用した。
- *
パースペクティブを利用した情報の新鮮度の視覚化
坂上、神場、古関義幸 (NEC)
WWWの普及などにより大量の情報を容易に取得できるようになった一方で、必
要な情報を見つけ出すことが困難になりつつあり、効率的に情報選択するための
技術の必要性が高まっている。筆者等は情報の持つ新鮮度属性に注目し、これを
視覚化することによって情報選択の効率を高めるとともに、パースペクティブの
利用により新鮮度の認知性を向上させる手法について検討を行なった。本論文は、
情報の新鮮度を表す手法、パースペクティブ実現のための手法に関する検討と、
これをPUSH型配信によるニュースビューアに応用した試作システムについて報告
する。
- *
ZooMail: セマンティックズーミングを用いた文書表示方式
小池雄一、古関義幸 (NEC)
携帯端末などの小画面デバイスで長い文書を読む時、
文書中の必要箇所の検索、
不要な箇所の読み飛ばし等の操作がきわめて困難となる。
この問題を解決するため、
本稿では、
セマンティックズーミングと文書構造解析の二手法を用いた文書表示方式を提案する。
ズーミング機能を用いることで、表示詳細度の低い状態で文書中の目的の箇所を探し、
詳細度を高くして目的の箇所を詳しく読む、という効率的な文書閲覧が可能となる。
表示詳細度の変更に必要な情報は、
文書の特徴から構造を解析することで自動的に抽出する。
筆者らは、この文書表示方式を電子メールビューワシステムに実装し、
方式の有効性を確認した。
- *
Dusk View: 透明度を用いた属性情報表現
若松、橋場、岩城 (NTTData)
Dusk Viewは、従来の情報視覚表現に新たな1次元の情報を付加する情報視覚化手法で、
元の情報の持つ重要性や信頼性を視覚表現時の透明度に対応させて表示するものである。
また、付加情報と透明度の対応関係はユーザがインタラクティブに制御することにより、
ユーザの見たい情報に合わせた視覚表現が可能である。
本稿では、例として災害時に断片的に収集される被害状況の視覚化を取り上げ、
収集された情報の新鮮さと色塗り地図の透明度とを対応させることにより、
時々刻々変化する被害状況を把握する際にDusk Viewによる表示が有効であることを示す。
- *
情報媒介システムにおける批評空間の視覚化
舘村 (東大)
現在、第三者による媒介情報を利用した情報フィルタリング技術が多数研究さ
れている。我々は、多様な情報の媒介には個々の情報の選別だけでなく、情報
全体の関連性の把握が重要と考え、評価対象と評価者のつくる情報空間を視覚
化し、これをもとに評価対象・評価者の互いの関係のインタラクティブな把握
を支援することで、個人の情報発信を生かした情報媒介インタフェースの構築
を目指している。現在、具体例としてWWW上の映画データベースの開発を行っ
ている。本発表では、このシステムの構想と情報視覚化手法、および予備的な
視覚化実験結果について述べる。
- *
軌跡描画による3次元空間のナビゲーション
五十嵐、原田、尾内 (東大)
仮想空間内を効率的に移動するための
インタラクションテクニックとして、
画面上に直接意図する移動経路をフリーストロークで描画する
手法を提案する。
現在地からの移動量を
コントロールする従来の手法に比べ、より簡単な操作で
自然な移動を実現できる他、
移動の目的地をポインタで直接指定する手法と比較しても
方向と位置を同時に指定できる点でより優れているといえる。
プロトタイプシステムが実装されており、
有効性を確認している。
16:20 - 17:20 制約 座長 伊知地 宏 (富士Xerox)
- *「計算=編集」パラダイムに従うHOLタクティクのためのEmacsインターフェース
萩谷昌己 (東大)、高橋孝一 (電総研)
「計算=編集」パラダイムに従って開発した、
証明支援系 HOL のタクティクを書くためのための Emacs インタフェースについて述べる。
タクティクはEmacs のバッファ上でテキストとして作成される。
証明支援系の状態を全く意識することなく、
編集中のタクティクの一部を証明支援系に送り実行することができ、
その結果としてサブゴールが編集中のタクティク中に挿入される。
最終的にテキストとしてタクティクが得られるため、
タクティクの編集に広く利用されている Emacs のモードの延長として普及することが期待される。
- *
階層線形系を用いた効率的な制約階層解消法
細部、松岡、米澤 (東大)
1次等式からなる制約階層のための解消法を提案する.
これはLU分解による健全かつ完全な階層線形系の解消アルゴリズムを基礎とし,
従来の局所伝播法に基づく制約階層解消法に比べて,
対象となるシステムやアプリケーションの信頼性を向上できる.
また,従来の制約階層解消法と同様のプランニングと実行の2段階解消を
提供することにより,
グラフィカルユーザーインターフェースでの利用に十分な効率を実現できる.
- *
GUIを記述するためのビジュアル言語
馬場、田中 二郎(筑波大)
本論文ではGUIをビジュアル言語によって記述することを提案する。
ビジュアル言語を「言語」と「処理系」に切り離して考えるならば、
ビジュアル言語によってシステムに依存せずにGUIを記述できることになる。
また、本論文ではGUIを記述するためのビジュアル言語を定義し、
その言語を用いてGUIを記述する例を示す。
定義には自然言語とCMG(Constraint Multiset Grammar)風の記述を用いる。
17:40 - 懇親会
19:30 - 21:30 デモセッション 座長 安村 通晃 (慶應大)
12月5日(金)
9:00 - 11:20 実世界と次世代 座長 大渕 竜太郎 (IBM)
- Pick-and-Drop: 複数コンピュータ環境での直接操作技法
暦本 純一 (ソニーCSL)
コンピュータ利用の日常化にともない、
PDAとデスクトップPCのように、
複数のコンピュータや電子機器を同時に利用する場面が一般化してきている。
従来のインタフェース技法は、
ほとんどの場合単一のコンピュータ環境を前提として設計されてきたが、
今後は、
「複数・異種のコンピュータや機器を連携して利用する」という傾向を
考慮して設計されるべきであると考える。
このようなインタフェースを「Multi-Device UI」と呼ぶ。
本論文では、Multi-Device UIの基本機能として、機器間での情報の移動の問題を考察し、
Pick-and-Dropという複数機器環境向けの直接操作技法を提案する。
- 現実世界での情報移動を支援するインフォ・スポイト
神武 直彦(慶大)、暦本 純一(ソニーCSL)、安西 祐一郎(慶大)
コンピュータ利用機会の増大に伴い、現実世界のみ、
電子世界のみでは得られないような様々な人間の活動支援が可能になりつつある。
本稿では現実世界における情報移動の形態について注目し、
その情報移動を支援することを目的とするインフォ・スポイトを提案する。
インフォ・スポイトは現実世界の実物に添付されたIDを認識し、
各状況における情報を明示的に操作することを目的としたスティック形状のデバイスである。
これによって、現実世界におけるビデオ・掲示板・電話・書類などの様々な実物間での連携を可能にし、
実際に各実物の制御も行なうことができる。
- HoloWall: 新しい原理の壁面型インターフェースとその応用
松下 伸行(慶大)、暦本 純一(ソニーCSL)、安西 祐一郎(慶大)
利用者の位置や動作を認識する、新しい壁面型インタフェースの原理を提案する。
またその原理を利用した壁面型ディスプレイをHoloWallと呼び、
アプリケーション例を示すことでHoloWallの持つ可能性を示す。
HoloWallは液晶プロジェクタ、赤外線カメラ、赤外線投光器で構成される。
この組み合わせにより、特別なものを利用しないインタラクション、
同時に複数のインタラクション、物の識別、
の3点の特性を同時に満たすことが可能である。
この特性により、従来のタッチパネルでは不可能であった
新しいヒューマンインタフェースの構築が可能である。
- 机型実世界指向インターフェース[EnhancedDesk]
小林、小池 英樹(電通大)
紙が非常に優れた情報媒体であるということは、周知の事実である。
しかし、紙は動的な情報(例えば、動画や音声など)を表現できないという欠点を持っている。
そこで、本研究ではコンピュータを利用して紙面情報に対する補足情報や、
紙の不得意とする動的な情報を表示する机を実現した。
また、紙面情報や電子情報とのインタラクションには指を利用し、コンピュータを意識させない環境を実現した。
- *
パーソナルインタフェイスエージェントによる街角情報支援
大澤 (ETL)
日常的な生活環境において、複数の人間と複数のソフトウェアエージェントとの
総合的なインタラクションを目指した、
パーソナルインタフェイスエージェントベースの街角情報支援モデルを提案する。
各人にはパーソナルインタフェイスエージェントが常に付添い、
個人とは独立したソフトウェアエージェントも多数、街の中で自由に活動しているという環境を想定する。
そして、人々が存在している実世界と、エージェントが存在しているデジタル情報空間とを統合し、
インタラクションの場をデジタル情報空間内でダイナミックに制御する。
11:20 - 12:20 昼食
12:20 - 14:00 例示と予測 座長 宮里 勉 (ATR)
- 図形の空間的な位置関係に基づく描画の予測機構
五十嵐 健夫、松岡 聡、田中 英彦(東大)
本稿では、図形描画タスクにおけるユーザの操作負担の軽減を目的とした
図形描画操作の予測機構とその実装について述べる。
本手法は、画面上に似た図形があった場合にその周辺の図形の位置関係を
コピーしてくるというもので、
自動的に操作の繰り返しや図形の複製反転回転等を実現することが可能である。
プロトタイプシステムが対話的整形システム上に実装され、
ユーザの操作を防げない自然な予測動作を実現している。
- 例示プログラミングによるWebブラウジング
杉浦、古関 (NEC)
現在WWWでは様々な情報が提供されているが、
その中には不要な情報も多く、
必要な情報を効率よく取得することは困難である。
本論文では、
日々のWebブラウジングにかかる作業コストを軽減するための
例示プログラミングシステムInternet Scrapbookについて述べる。
本システムにより、
複数のWebページから必要な箇所を集めた個人用スクラップページを
作成することができる。
元のWebページが更新された場合でも、
システムがスクラップページの内容を最新情報に自動的に置き換える。
そのため、ユーザは複数のWeb ページに繰り返しアクセスする必要はなく、
スクラップページ上で必要な全ての最新情報をブラウズすることが可能となる。
- *
グラフ書き換え言語とそのインタラクティブシステムへの応用
原田、宮本 (NTT)
インタラクティブシステムの単純で強力な実装法を求めるために,
インタラクティブシステムを,関係を操作する言語の部分と,
プログラムと実行過程を視覚化する部分とに分けて考える.
まず,イベントによって書き換えの場所とタイミングを制御するグラフ書き換え言語を提案する.
それを適当に視覚化して,自己拡張が可能なインタラクティブシステムを記述するのに適したビジュアル言語を作成する.
また,視覚化ツールの拡張により,画面のデザインが自由にできる機能をビジュアル言語に追加することができる.
- *
分散書き換えビジュアル言語によるネットワークアプリケーション構築
宮本、原田 (NTT)
画面表示の書き換えにもとづくビジュアル言語を,
ネットワーク透過なアプリケーションを構築できるように拡張する.
ネットワーク上に分散したホストの画面の振舞いはそれらをタイル張りにして構成した
1つの仮想的な画面におけるビジュアル言語の振舞いとして定義される.
ロッキングメカニズムを導入するすることで複数ユーザの同時的な作業を支援でき,
CSCWの基本機能が構築可能である.簡便な分散GUI環境記述方式として期待される.