査読者1

[メタ] 総合的な採録理由

本研究の新規性は,スマートグラスのレンズ面にタッチパッドを付けることでタッチ入力を実現した点にあると考えられます.既存研究としても,VR HMDではGugenheimerらのFaceTouchがありますが,See-through HMDであまり見られません.また一般的にはレンズへのタッチは指がぼやけるため入力が不正確となると思われますが,本論文では必ずしもそうではなく比較的精度が高いという結果が出ている点は評価されます.一方,有用性に関して,本手法そのものの精度は述べられていますが,他の方式,例えばバーチャルキーボードとの入力精度・速度の比較が必要と思われます.

[メタ] 査読時のレビューサマリ

なし

[メタ] その他コメント

なし

総合点

3: どちらかと言えば不採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

新規性:  スマートグラスのレンズ面にタッチパッドを付けることでタッチ入力を実現した点.VR HMDでは[5]があるが,See-through HMDであまり見られない.一般的にはレンズへのタッチは指がぼやけるため入力が不正確となると思われるが,本論文では必ずしもそうではなく比較的精度が高いという結果が出ている点は評価される.
有用性:  本手法そのものの精度は述べられているが,他の方式,例えばバーチャルキーボードとの入力精度・速度の比較が必要と思われる.
論文の記述:  問題ない.

この研究をよくするためのコメント

レンズにタッチする場合,指への焦点が合わず結果として指がぼやけて見えるという問題点があると思います.以下の論文ではこれに関する評価を行なっていますのでご参考にされると良いかと思います.
https://www.mdpi.com/2076-3417/10/21/7920
レンズ面へのタッチが思いの外,精度が高いのは興味深いです.ですので,今後はsee-through virtual keyboardとの比較,特に,パネルや手のひらなど物理的な平面をおいてそこでのvirtual keyboard入力との比較で,本手法の有効性を示して頂きたいと思います.
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3232163 https://arxiv.org/pdf/2309.03977.pdf


査読者2

総合点

4: どちらかと言えば採録

確信度

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

- 新規性: 光学透過型HMDのレンズ面に対して, 外側からタッチ入力を行うためのインタフェースを提案している. 提案手法は, 既存のグラスのフレーム部や外部コントローラを介した従来の間接的な入力方法とは異なり, 直接的な操作を可能とする点に新規性がある. 一方, 手指で視界の一部を覆うため, 透過型HMDで想定されるAR的なアプリでのユーザビリティは制限を受けると考えられる.
- 有用性: ポインティング操作においてはそれなりの精度と速度が達成され, その有用性に対して一定の評価が得られている. テキスト入力の速度は5.5WPMであり高速とは言い難いが, キーの配置を両側のレンズに拡張するなどしてキーサイズを拡大できれば改善の余地があると考えられる. - 論文の記述の質・正確性: 大きな問題は無いと考えられる. 全体として, ストレートフォワードな提案・実装ではあるものの, 今後のチューニングに期待したい内容である.

この研究をよくするためのコメント

- 提案手法の課題はレンズの指紋汚れや焦点距離の他に, ゴリラーアーム問題 (腕の疲れ) や社会的受容性, 手指による視界の遮蔽もあると思われる. これらについても議論やユーザフィードバックで言及するのが望ましい. また, これらの制約を考慮し, 提案手法に適している/適していない応用例についての議論があると良い.
- 実験条件の「リフト」と「タッチ」の名称が分かりにくい. どちらもタッチ操作であるため, タッチダウン, タッチアップなどの表現が適当であると感じた.


査読者3

総合点

4: どちらかと言えば採録

確信度

1: 専門外である

採否理由

本論文では、スマートグラスデバイスにおけるユーザ入力手法として、スマートグラスのレンズ面をセンサとして入力する手法を提案している。 レンズ面をセンサとして活用する手法には新規性があり、本論文では活用アイディアについても実例をいくつか述べ、それぞれについて5人の被験者による主観評価実験を実施している。 既存手法と比較した有用性の観点で疑問が残る点はあるが、WISSでの議論に値する内容と考えました。

この研究をよくするためのコメント

査読者4

総合点

4: どちらかと言えば採録

確信度

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

本研究ではスマートグラスのレンズ面に対してのタッチ入力を提案しています. 評価実験からその性能を示されていますが,以下の点が気になりました. 光学シースルーHMDは実環境も見えるということが利点の一つだと考えられますが,入力する手によって視界が塞がれることは許容されるのでしょうか.想定する利用場面等を明確にされると良いと思いました. 「FaceTouchと比較して正確で素早い入力が期待できる」と3章に記述されていますが,結果的にどうなのでしょうか.FaceTouchを比較対象とするのなら,その結果と比較しての議論が必要と考えます.

この研究をよくするためのコメント

光学シースルーHMDへこの入力手法を適用する時ならではの課題とそれに対する解決手法があるとより良くなると思いました. グラスを顔側に押し付けることによる負担はないでしょうか.例えば,タッチセンサが内蔵されたイヤホンでタッチ操作を繰り返すと,耳への負担が大きく痛みを感じることがあるかと思います.5.2節で痛みについては問題ないと記載されていますが,被験者へのアンケート等,何かしらの方法で示されると良いと思いました. 先端恐怖症の方だと利用は難しくなるのでしょうか.そのような議論もあるとより良いと思います.