本当に有用かどうか判断できない段階の研究ではありますが、「インスパイアリングである」など、斬新な着眼点に対しての評価は全査読者で一致しており、本ワークショップにおいて議論に足るものだと判定されました。ぜひ査読者のコメントをお読みいただき、それらの疑問について答える記述の加筆などをお願いします。特にR146の指摘「先行研究で示されたようなLED明滅による速度感の提示ではなくVRを用いる事などに対し、メリットとデメリットは記述しておいた方がよいかもしれません」の反映をご検討ください。
4: どちらかと言えば採録
2: やや専門からは外れる
このようなアプローチはみたことがなく、十分な新規性があると思います。 有効性も認められますが、通常より高い声を出せるようにするための他の手段と比べてベストかどうかは読み取れませんでした。 暗黙的でなく、形式的なノウハウ(あるいは指示)として提示するのよりも効果が高くなるのかがどうかがわからないのが残念に思います。ただ、意識せずに姿勢が誘導される点には強い魅力や価値を感じます。
5: 採録
3: 自身の専門分野とマッチしている
VRにより移動感を与えることで使用者が通常より高い声を出せるようになるというのが本論文の主旨です。先行研究はいずれも速度感の提示や高音発生のための別手法であり、それらを組み合わせて高音発生をさせるという点で新規性は認められます。 実装がシンプルでわかりやすく、理論においても高音発生できることに対して納得ができます。高音の発声が難しく、かつ歌唱において需要があるという点で有用性もあると言えます。 実験方法や結果のまとめについてもわかりやすく書かれており評価できます。
先行研究で示されたようなLED明滅による速度感の提示ではなくVRを用いる事などに対し、メリットとデメリットは記述しておいた方がよいかもしれません。読者の専門分野によってはそれらは自明と思えるかもしれませんが、当たり前のことでも記述しておくとより多くの読み手に主張を伝えることができます。実際にこれを使って歌唱トレーニングを行う際には使用者のモチベーションを高めるため様々な工夫が必要となりそうですが、そこも今後の研究として続けていけそうですね。
3: どちらかと言えば不採録
2: やや専門からは外れる
本研究は、VR映像が与える影響により暗黙的に歌唱時の発声を支援するシステムの提案です。特定のVR映像を提示することで発声することのできる音程の上限に差異があるかについて調査を行っています。 歌唱時に理想的な姿勢をとる必要があるが、それを意識的に行わずに自然と行うことが好ましいという問題点に関して、VR映像を活用し、ユーザーに意識させずに体重移動を促すことで理想的な姿勢に近づけることができるのではないか、という着眼点は斬新で評価できます。 一方で、実際にこのシステムが有効に機能する可能性は、本論文からは十分に読み取ることができませんでした。 先行研究[2]では、 「頭声分の多い高音発声においては、骨盤を巻くように回転させる必要があり、これに伴い足裏の体重位置はつま先に移動する」 ということは述べられていますが、その逆(体重移動によって高音発声がしやすくなる)は述べられていません。そのため、本システムの有効性を確認するために、 (1)本提案で提示したVR映像で意図した体重移動を行わせることができること (2)(前方重心への)体重移動を行わせることで、高音が発声しやすくなること の2つを示す必要がありますが、論文中からは(2)の前提となる(1)が不明なため、体重移動が高音発声に寄与していたか、読み取ることができませんでした。 WISSでは評価を行わないことを理由に減点はしませんが、評価以外の部分のみ、または提示されている評価のみから、提案システムの可能性を判断することができませんでした。 そのため、総合的に「どちらかと言えば不採録」と判断しました。 今後、システムの精度が上がることで提案手法の有用性が示されることを期待しています。
「適切な姿勢がとれているか」という課題と「適切な歌唱が行えるか」という課題は必ずしも一致しないところが本研究での難しいところと思います。 たとえば、 ・適切な姿勢がとれているからと言ってすぐに高音が発声できかどうかは分からない ・高音が発声できているからと言って適切な発声であるかどうかは分からない といったことは十分にあり得ると思います。 一足飛びに「高音が発声できているか」を評価に置くよりも、「熟練者の体重移動に近い体の動きがVR映像による誘導で行えているか」を評価する方が妥当かもしれません。
4: どちらかと言えば採録
3: 自身の専門分野とマッチしている
VR空間に流れる映像によってユーザの姿勢を誘導し, これを高音発生の練習に役立てる,という研究です. VR映像によってトレーニングを加速する, またその手法として無意識に姿勢を誘導するというアイデアは非常に面白く, これから需要・注目度ともに高くなる技術と思いました. また,この技術を評価するためのアプローチも適切で分かりやすくです. ただし,姿勢の誘発について,現在の提案パターンではあまり有効・明確な誘導ができていない結果となってしまっています. これからが非常に期待され,また後続が多く誘発されるような研究と思います.
誘導の画像について,現在はユーザの姿勢に関わらず一定のパターンとなっているように読めましたが,これを例えばユーザの頭の位置に応じてパターンを変えてユーザの頭が適切な位置に行くように誘導するような画像とすることができるように思いました 是非体験してみたく, 既にUnityで実装されているので,これをVRChatのワールドなどにできますでしょうか 図3について動画のコマ割りになっていますが,動きのイメージがつかみづらい感想を持ちました.それぞれ一枚の大きい絵と動きを示す矢印などで示した方が分かりやすいかもしれません
本当に有用かどうか判断できない段階の研究ではありますが、斬新な着眼点に対しての評価は高く、本ワークショップにおいて議論に足るショート採録と判定されました。