査読者1

[メタ] 総合的な採録理由

本研究では、グループダンスのフォーメーションのデザインを支援する「候補提示型」ユーザインタフェースを提案しています。提案するシステムはグループダンスでのフォーメーション作成で有益であると考えられ、WISSにおいてはルールを増やした場合の想定やコンピューターアニメーションエディットシステムとの関連,ユーザテストの評価方法などについて議論できればと思います。

[メタ] 査読時のレビューサマリ

本論文は4名の査読者に査読されました。 本研究ではグループダンスのフォーメーションや移動経路を効率的に設計するための「候補提示型」インタフェースを提案しています。 提案するシステムの新規性・有用性については、いずれの査読者も高く評価しています。 また、正確性や論文自体の記述の質も優れていると判定しました。 上記の内容を総合的に判断し「ロング採録」となり、採録条件も特に必要ないと判断しました。 一方で、以下の点について査読者から疑問があがっています。 ・提案システムに盛り込まれたルールから逸脱したモーションの入力がどれほど試みられたのかがわからないため、この結果のみから提案手法の有用性を判断するのは難しい。単にルールを増やしていけばいいのか、それとも提案候補の種類が増していってかえってユーザの混乱を招くのか、今後の調査に期待したい。 改訂原稿および当日のプレゼンテーションで、少しでもそこに言及いただけると、より有意義なワークショップになるかと思います。

[メタ] その他コメント

誤記の指摘がありますので、修正対応していただければと思います。 また、各査読者の指摘を鑑みた修正に期待しています。

総合点

5: 採録

確信度

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

本研究では、ダンスのフォーメーションのデザインを支援する「候補提示型」ユーザインタフェースを提案しています。ユーザテストを通して、約63%の経路についてシステムが提案した経路を使用していることを確認しています。 本稿はよく書けており、内容の把握が用意でした。またデモ動画も非常にわかりやすく、システムの挙動が理解しやすかったです。システムが問題なく動作していることも確認できます。 筆者らが述べている通り、ダンスのフォーメーションデザインを支援するシステムはいくつか提案されていますが、候補提示を用いてダンサーの細かな移動経路の作成を支援するシステムはなく、新規性が認められます。 また、ユーザテストを通して、参加者が作成した移動経路全体のうちシステムが提案した経路が約63%を占めていることや、参加者のコメントからもシステムの有用性が認められます。 以上より、採録と判断しました。

この研究をよくするためのコメント

実際に何名程度までであれば表示・編集に問題がないのか少し気になりました。 フォーメーションの作成を支援するという意味では、敢えて奇をてらった提示を混ぜることで、より幅広いフォーメーション作成につながるのではないかと思いました。 フォーメーションのデータを収集し分析することで、ダンスジャンルによってフォーメーションの作成傾向が異なったり、個人の作成の癖やカンパニーの癖なども機械学習等を用いてモデル化できると、ダンスの楽しみ方が広がりそうだなと思いました。他にも、InstagramやYouTubeで多数のダンスが共有されていますが、同様に提案システムのようなWebツールを通してフォーメーションが共有されるようになれば、いいねや特定のコメントが多く集まるフォーメーションを学習させれば、狙った印象を与えるフォーメーション生成もできるのではないかなど、妄想が広がりました。 ほとんどの場合はダンサーは一定速度で移動するようにも思うのですが、ダンサーの途中の移動速度についても変化をつけられると、より多様な場面で活用できるのではないかと思いました。 フォーメーションの変化は楽曲情報とも強く結びついていると思うので、その辺りの関係についても調査していくと楽曲情報に基づいたフォーメーション提示も可能なのかなと思いました。


査読者2

総合点

5: 採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

本研究は、グループダンスのフォーメーションや移動経路を効率的に設計するための「候補提示型」インタフェースを提案しています。提案システムでは、移動前後のフォーメーションに対して、一部のダンサーの移動経路を指定すると、残りのダンサーの移動経路予測し提示する機能を実装しています。さらに予測アルゴリズムを複数備えることによってユーザは複数候補から経路を選択可能となっています。また、提案システムを用いてユーザーテストを実施ており、その有用性を確認しています。 一部のダンサーの経路指定から他のダンサーの経路を予測し省力化を図る点、および経路予測に複数のアルゴリズムを採用することで発想の幅を広げる点は、新規性があると考えます。 また、参加者数は限定的であるものの、実際に想定ユーザを対象にした評価実験を実施し、システムの提示した経路が高い割合で採用されたという結果を得ており、システムの有用性も示されていると考えます。 論文の記述の質も高く、分かりやすく説明されていると感じました。 上記より、本論文は「5: 採録」が妥当であると判断します。

この研究をよくするためのコメント

誤記 2.1節第1段落末「新しい移動のアイデアを得るにも役立つ」


査読者3

総合点

5: 採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

ダンスモーションのエディットシステムとして、複数人のモーションの入力を支援する手法として、移動経路の開始点と終了点とが与えられた場合にそれをつなぐ経路の入力支援をするものとしては十分に新規性がある。スプライトアニメーションのエディットシステム向けの提案として同種のものはあるかもしれないが、査読者は見付けられなかった。 評価実験については、提案システムに盛り込まれたルールから逸脱したモーションの入力がどれほど試みられたのかがわからないため、この結果のみから提案手法の有用性を判断するのは難しい。単にルールを増やしていけばいいのか、それとも提案候補の種類が増していってかえってユーザの混乱を招くのか、今後の調査に期待したい。また、同様の着想に基いたエディットシステムはコンピューターアニメーションエディットシステムなどでよく見られ、それらの性質はさまざまに調査されているので、それらの知見をベースに提案システムの今後の展開について議論するとよいだろう。 論文の記述自体については申し分なく書けている。

この研究をよくするためのコメント

同種の候補が大量に生成されることが、特にルールを増やした場合には想定される。大量の候補から適切なものを選択する過程においてはやはりこれまでに様々な手法が提案されており、それらが応用できないか検討されたい。

査読者4

総合点

5: 採録

確信度

1: 専門外である

採否理由

本論文では、複数人でのダンスの移動フォーメーションの作成を支援するシステムを提案している。 初期位置と移動後の位置を、画面上に入力し1人分の軌跡を入力するだけで、全体の集団の移動フォーメーションを5つのヒューリスティックルールから自動的に選択し生成している。 候補をいくつか提示した上で、ユーザに選択させるインターフェースを採用している。 ユーザテストによって有用性評価をしているが、実際に提案手法によって生成されたフォーメーションを採用される割合は63%に留まっている。この数値を評価としてではなく、これからの発展性として提案手法の独創性は評価に値すると考えられる。 論文自体はSIGGRAPH 2021で発表された論文をまとめたものであり、内容に関してはクリアに記述されており質が高いと判定しました。

この研究をよくするためのコメント

ユーザテスト方法として、提案手法の採択率という軸で評価していますが、作業時間での評価など定量的に近い方法では大きく差が出るのではと思いました。