喫緊の課題を解決するシステムに関する提案で,有用性や実際の実装/運用がされている点を,どの査読者も高く評価しました.
また,大学講義・TAならではの特性を利用した実装は有効性が高く評価されました.
一部読みづらい図があるようです.
論文への追加点として,
・関連事例サーベイによる,システムの新規性の位置づけ
・組織マネジメント的な視点からのシステム効果の議論
・GUIの改良
などが挙げられました.
7: ロング採録に反対しない
2: やや専門からは外れる
オンライン実習講義の支援システムの提案・実装・運用報告に関して述べられています.
提案システムは,受講生がTAに質問があるときに,まず質問の概要をシステムに投稿するアプローチをとっています.このことにより,質問者自身による質問の具体化/記録,複数人いるTAのマッチング,待ち時間の管理,を可能とし,質問のハードルをさげるとともに,TAの負担軽減を図っています.
質問投稿,TA対応のステート通知,画面共有が可能な実システムが実装され,実際の授業での運用を通したアンケート結果が示されています.
TAと質問者のマッチングを可能とするシステムを実際に実装・運用した報告であり,また喫緊の需要に応えるテーマとなっています.
・関連研究がやや古い事例のため,最新の同様のシステムがどうなっているかの言及があると位置づけがはっきりすると思います.
・TAが回答する質問を選べることにより,いつまれも回答されない質問がでてくるのか,またその対策はあるのかが不明瞭でしたので,なにかスケジュールに関するアプローチがあれば言及があると良さそうです.
7: ロング採録に反対しない
3: 自身の専門分野とマッチしている
コールセンター業務や飲食店のオーダーシステムと似たような、対人コミュニケーションのためのヒューマンリソースディスパッチシステムを大学講義のTA配置問題に対して展開したものである。新規性の判断は難しいが、大学講義ならではの、学生とTAの消極性に配慮したデザインは有用性の観点から一定の評価ができる。喫緊の課題に対して、試行錯誤しながらインタラクティブシステムの提案と運用により解決を図った姿勢に、WISSらしさを感じる。実験結果に対する考察も妥当であり、有益な示唆が得られている。
正確性、論文の質も高いと判断される。
図2,3の文字が読めない。
先述のように、コールセンター業務や飲食店のオーダーシステムと似たような、対人コミュニケーションのためのヒューマンリソースディスパッチシステムに関する関連技術・サービス・研究のサーベイが求められる。
特にこのような業界では、レスポンスタイム(顧客を待たせる時間)とそれにともなう非相談者の時間プレッシャーの管理に関する膨大な知見があることが想像されるので、参考にされたい。
今回の実験では「用意したTAで十分回せた」という結果が得られたが、これを一般化して、どういうTA/学生比率、課題の難易度、それに伴う平均質問対応時間、の範囲内に破綻しないのか、に関する考察があるとなおよいと思われる。今回と違うパラメータ設定だったとき、図7,8,9がどのような状況だとOKでどうなるとリソース不足なのか、などががわかるとよいかもしれない。これは経営学の理論になにかヒントがあるように感じる。
以下、コメントです。
一般論だが、対人コミュニケーション支援システムから人間の存在感を失わせるデザインには、気兼ねなく使える、というプラスの側面を持つ一方で、「人間扱いせずに機械のように使い倒してやろう」という悪意に対し脆弱である側面もある。「askTAに頼り切りな人がいた」というコメントが得られたことは、その片鱗かもしれない。しかし基本的には大学における顔の見知った学生・TA間でのやりとりであるので、相互に信頼関係が構築されている状況と見受けられ、このようなデザインが破綻せず有効に働くシチュエーションであると感じた。
7: ロング採録に反対しない
2: やや専門からは外れる
オンライン授業時のTAの業務・精神負荷を軽減するためのオンライン演習講義支援システムを提案しています.
【新規性】
昨今のオンライン授業の導入に伴い,オンライン授業での学生サポートのあり方について試行錯誤の段階であるが,本研究では,受講者が質問するハードルを下げる・TAの学生対応ハードルを下げる・順番待ちに対する問題を解決するためのシステムに新規性があると考えます.
【有用性・正確性】
実際の大学の講義にて提案システムを用いて授業運用し,効果を立証したことからも,有用性及び正確性が高いと思います.
【論文自体の記述の質】
論文自体も読み易く,明瞭に記載されていると思いました. p5.の表1, 2については,図もあるとより可読性が向上すると思いましたのでご検討下さい.
昨今,オンライン授業が増加する一方で,講師側・TA側・受講者側それぞれに複数の課題があることが明らかになりつつあります.既存の会議システムでサポートしきれていない箇所に着目し,提案システム内で複数の課題を解決できる点に感心しました.使い勝手やGUIについては発展の余地があると思いますので,実運用で得られた知見を元に,システムの更なるブラッシュアップを期待します.
オンライン実習講義の支援システムの提案・実装・運用報告に関して述べられています.
提案システムは,受講生がTAに質問があるときに,まず質問の概要をシステムに投稿するアプローチをとっています.このことにより,質問者自身による質問の具体化/記録,複数人いるTAのマッチング,待ち時間の管理,を可能とし,質問のハードルをさげるとともに,TAの負担軽減を図っています.
システムは,実際の授業で運用され,アンケート結果が示されています.
喫緊の課題に対して,試行錯誤しながらインタラクティブシステムの提案と運用により解決を図った姿勢に,WISSらしさを感じます.