本論文の査読者の評価は、書き方こそ異なりますがほぼ同じと考えられます。
すなわち、
・目的ははっきりしており、実装もよくできている。
・論文自体はよく書けている。しかしながら強く推す部分は残念ながらあまりない。
・WISSの論文で求められる未来に対するビジョンの記述が欠けていますが、一方で有用な広がりはあるかもしれないと期待している。
そういった意味でぜひ発表いただいて議論したい、というのが査読者の共通見解です。
5: ショート採録が妥当
2: やや専門からは外れる
目的も実装も素晴らしいのですが、ストレッチセンサ(C-STRETCH)は市販製品であり、キャリブレーションや角度推定は標準的な方法、そして、評価実験は、簡単な測定報告に加えて、機械学習による推定の比較を行った程度にとどまっており、まだ現状では強いインパクトがないというのが率直な感想です。
何か後押しポイントとして未来ビジョンに相当するものが記されていないか見てみたのですが、それもあまり記されていないので、うまく推してあげられる観点が見いだせず、結果として厳し目の点数になってしまいました。
p.s.
誤字を発見したので記しておきます。
概要:このような怪我防ぐため→このような怪我を防ぐため
上記には厳し目のことを書いていますが、今後の発展には大いに期待すべき研究だと思います。動画に記されていたようなアプリケーションが提案され、そのための機械学習推定の目標精度が決まり、それに達しているか否かの評価実験と議論が加われば、ロング採録のレベルになると思います。
5: ショート採録が妥当
2: やや専門からは外れる
・新規性
単独稼働する膝稼働のセンシングかつ記録デバイスの開発として新規性があると判断しました。
・有用性
膝を痛めないようにランニングを続けるというわかりやすい題目に対し、装着しやすく正確な測定ができるデバイスを提案しており有用性があると考えられます。
・記述の質
非常にわかりやすく論理的に書かれています。実験についても提案システムの項で生じる疑問を一通りクリアしており、主張に納得できます。
非常にわかりやすく、必要十分に書かれており良い内容だったと思います。
一方で添付されたビデオの内容は加速度センサを用いたデバイスと大きく変わらない作りになっており、膝を痛めないように走るというデバイスの有用性があまり説明できていないように思います。
膝の角度測定は痛めないように走るという以外にも新規性のある使い方がありそうに思えるのですが、将来ての展望としてそういったところは主張しないのでしょうか?(すでに先の予定があるようでしたら気にしないでください)
5: ショート採録が妥当
3: 自身の専門分野とマッチしている
伸縮するサポータにストレッチセンサをとりつけたウェアラブルデバイスにより,膝の伸縮を検出する手法が提案されている.この手法により,ランニングフォームの適切さを評価することが目指されている.
ウェアラブルデバイスとしてストレッチセンサの利用は発展性があり,今後の解析が期待される研究です.
同様にストレッチセンサを用いる[14]との差異や発展性の議論があると位置づけが明らかになりそうです.
膝を痛めないようにランニングを続けるという問題設定に対し、装着しやすく正確な測定ができるデバイスを提案した有用性のある研究です。ウェアラブルデバイスとしてストレッチセンサの利用は発展性があり、今後の解析が期待されるため、本ワークショップでの短い発表に適した論文であると判定します。