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査読者 1

総合点

7

確信度

1

コメント

評点の根拠:

移動および回転している物体から撮影された全天球動画の視点固定のための
アルゴリズムの提案と実装に成功しており、ボール視点のスポーツ観戦の
実現に際して重要な課題の一つを解決しています。
提案アルゴルズムでは、ボールの回転軸の変化にも対応できる([2]では回転軸が限定)、
さらに高速な縦方向の回転にも対応できる回転補正処理が実現できている
([4]では高緯度の特徴点を使用しないため高速回転に対応できない)点が、
先行研究に対する新規性の点で評価できます。

論文ではTHETAを用いて撮影された動画を用いていたが、
提案アルゴリズムは他の種類のカメラで撮影した全天球動画にも適応できるという点で
汎用性も評価できます。


論文改善のためのコメント、疑問:

図3の処理による効果が分かる動画があると
提案手法の効果がはっきりわかるのではないかと思いました。

また、例として示した固定された視点は、
既存の研究[2,3,5]でも実現できるものであり、
任意の視点ならでは面白い例が欲しいです。

「隣接するフレーム間の時間は微小であるので,
全天球カメラの並進による特徴点の見え方の変化はない.」といっていますが、
「特徴点の見え方」が具体的には何を表しているのか分からないです。

採録判定時のコメント

移動&回転しているボールから撮影された全天球動画の視点固定のためのアルゴリズムの提案です。スポーツやエンタテインメント等の分野において今後高い応用可能性を秘めた研究であると考えられます。特徴点のロバストな抽出という技術的新規性に加え、しっかりした実装が成されており、ロング採録となりました。一方、アルゴリズムの説明で理解が難しい個所があるので、より丁寧な記述が望まれます。

レビューサマリ

全体の構成: ボールに内蔵した全天球カメラ映像を活用することで、球技などに新しい視聴体験をもたらす可能性があります。研究は、回転するボールにおいて、どのようにして視点を固定するかという問題に取り組んでいます。 評価すべき点: ・新規性の主なものは、特徴点のロバストな抽出方法の提案にあります。全天球動画の回転の補正手法について正距円筒図法においては高緯度領域の画像に歪みが生じることから、緯度変換を行って高緯度領域の画像を一度低緯度に移動させて画像処理(特徴点抽出)を行い、その後再度、高緯度領域に移動させることで歪みの影響を抑えるものです。このアルゴルズムでは、ボールの回転軸の変化に加え、高速な縦方向の回転にも対応できる回転補正処理が実現できている点が、先行研究に対する新規性の点で評価できます。 ・論文ではTHETAを用いて撮影された動画を用いていましたが、提案アルゴリズムは他の種類のカメラで撮影した全天球動画にも適応できるという点で、汎用性に点からも評価できます。 改良のためのコメント等: ・「隣接するフレーム間の時間は微小であるので,全天球カメラの並進による特徴点の見え方の変化はない」と述べていますが、「特徴点の見え方」が具体的には何を表しているのか不明です。 ・4節の画像処理アルゴリズムに関して,もう少し丁寧に(数式等を入れて)説明されると良いと思います. ・図4の行列R,frame nについて,文章中に説明を追記したほうが良いと思います. ・概要に述べられている「8点アルゴリズム」については説明が無く、理解が困難です。こちらもオリジナルな方法であるとすればその利点や欠点を含めて説明、議論してください。 ・図3の処理による効果が分かる動画があれば、提案手法の効果がより明確になります。 ・おそらく将来的にはボールの視点固定はリアルタイムで行えるべきと思います。提案法と従来法について計算量の比較や、高速化の可能性などについても論じていただけるとありがたいです。 ・「任意視点ならでは」の面白いアプリケーション例が欲しいです。

その他コメント

査読者 2

総合点

7

確信度

2

コメント

参考動画が示すとおり,著者らが述べているとおり,全天球カメラ映像の姿勢変更を推定し,基準フレームに映像を修正することに成功している.スポーツやエンタテインメント等の分野において今後高い応用可能性を秘めた研究であると考えられます.是非手法を利用してより多くの出力結果を確認したいと感じました.4節の画像処理アルゴリズムに関して,もう少し丁寧に(数式等を入れて)説明されると良いかと思います.また,図4の行列R,frame nについて,文章中に説明を追記したほうが良いかと思います.

査読者 3

総合点

6

確信度

2

コメント

ボール内に全天球カメラを内蔵し、それの映像を活用することで、球技などに新しい視聴体験をもたらす可能性があります。研究は、回転するボールにおいて、どのようにして視点を固定するかという問題に取り組んだものだと理解しました。

提案の主な貢献としては、特徴点のロバストな抽出方法の提案にあると読み取りました。これは、全天球動画の回転の補正手法について正距円筒図法においては高緯度領域の画像に歪みが生じることから、緯度変換を行って高緯度領域の画像を一度低緯度に移動させて画像処理(特徴点抽出)を行い、その後再度、高緯度領域に移動させることで歪みの影響を抑えるものです。査読者は領域の専門家ではありませんが、この提案がオリジナルなものであるとすれば、発表・議論する価値があるものと判断します。

一方で、概要に述べられている「8点アルゴリズム」については説明がなくよくわかりませんでした。こちらもオリジナルな方法であるとすればその利点や欠点を含めて説明、議論していただきたいと思います。

おそらく将来的にはボールの視点固定はリアルタイムで行えるべきと思います。提案法と従来法について計算量の比較や、高速化の可能性などについても論じていただけるとありがたいです。