査読者 1
総合点
7
確信度
3
コメント
評点の根拠:
具体的な説明のためには動画が必要だが、動画のオーサリングは
面倒なため適切に利用されていない。この状況を、ポインタが動作
する動画をオーバーレイすることで改善しようという試みは有効
であると感じる。移動経路のように、利用者によって異なる動画を
追加したい場合にも対応しており実用性が高い。
また、一般には図表の特定箇所を指示しながら説明したいという
もあると考えられるが、動画を重畳する箇所のIMGタグ以外に拡張
することで容易に応用可能とみられる点も評価できる。
論文改善のためのコメント、疑問:
第3.2章で「#以降の値は本システムを導入していなければ無視
される」とあるが、コンテンツを保有するオリジンサーバが
無視するという意図なのか、不明瞭。ページ内アンカーが偶然
にも一致してしまう場合は考慮しなくてもよいか。
第4.1章で「アニメーションパターンの推薦を行う」とあるが、
どのような情報から何を推薦するのか、推薦可能なのか、
理解できなかった。
第4.1章で「プライベートな情報を埋め込める」としているが、
システムを一度でも利用すればIDの文字列に総当たり攻撃を行う
ことは可能であり、認証との組み合わせが必要と考えられる。
第4.2章では、「不慣れな言語を読まなくても動画の付与により
内容が理解できる」としていながら、同じ章で「GIFアニメーション
だけでは不十分で説明のテキストが必要」としているのは矛盾している。
ベースとなるページコンテンツはURLで管理されると思われるが、
ページコンテンツがアップデートされた場合に対するロバスト性を
備えているのか、本稿からは読み取ることができなかった。
採録判定時のコメント
様々な情報提供がWebコンテンツとしてなされる現状において、ユーザ毎に個別のアノテーションを施せることは重要であり、現代の技術で実装したことと合わせて評価できます。一方で、Webページ上の画像にマウスの軌跡を重畳することでアノテーションを付加するというアイデアそのものに新規性は乏しく、3つの「装飾モード」を選択した根拠やこれらの有用性も明確ではありません。今後の発展を含め会場で議論する価値があると判断し、ショート採録となりました。
レビューサマリ
全体の構成:
Webページ上の画像に具体的な説明を付加するため、マウスポインタの軌跡を重畳することで実現するとともに、利用者ごとに異なる動画を追加可能である。また、今回提案された3つの「装飾モード」はよく実装されている。検討予定の装飾モードのアイデアも提案されており、今後の発展に期待が持てる。
改良に向けたコメント等:
・静止画のみが装飾の対象となっていること、提案している3つの装飾モードが選択されたことの根拠が不明確のため、これらを選択するにあたっての事前調査や考察を示して欲しい。
・第4.2章では、「不慣れな言語を読まなくても動画の付与により内容が理解できる」としていながら、同じ章で「GIFアニメーションだけでは不十分で説明のテキストが必要」としているのは矛盾している。テキストとの併用は必要なのか不要なのか、見解を明らかにして欲しい。
・ベースとなるページコンテンツはURLで管理されると思われるが、ページコンテンツがアップデートされた場合に対するロバスト性を備えているのか、示して欲しい。
推奨される参考文献(国際会議等):
Federico Bartoli, et al., "WATTS: a Web Annotation Tool for Surveillance Scenarios", Proceedings of ACM MM '15, pp.701-704, 2015.
Marcel Karam, Maha Abou Ibrahim, "Synchronous online help support with visual instruction aids for workflow-based MVC web applications", Proceedings of ACM SIGDOC '09, pp.105-114, 2009.
その他コメント
査読者 2
総合点
5
確信度
1
コメント
インストールの説明のページなどでどこをクリックすればよいのか
分かりにくいような状況などを解決する手法として、
論文中で提案している3つの装飾モードはよく実装されており
実用性も高そうに見えます。
ただ、ここまでするほどの高い動機が実際あるものなのか、
提案している装飾モードに関してもなぜこの3つなのか、
事前調査もしくは考察がなく、単に技術的にできそうだから、
思い付きでやったようにも見えます。
実験も有用性を評価するものではないので、
結局役に立つのかよくわからないです。
ただ、応用の章に様々な検討予定の装飾モードのアイデアが提案されており、
高い可能性を感じます。
手法としては参考文献[1]の手法とほぼ同等であり新規性は低いと感じました。
タイポ:P2右上「さらに、このシステムにこれに機能追加を」
査読者 3
総合点
6
確信度
1
コメント
ウェブページへの重畳という手法自体は過去に多くの例があり,技術的な新規性はあまり大きくないと思います.しかし,インタラクションのデザインは共有も含めて十分に検討されており,有用性は高いと思います.
今回の研究では,静止画にのみ注目しておられますが,そこにだけ焦点をあてたのかについてはやや疑問があります.例に挙げられたデジタル技術関連の HOWTO ものの場合,図のみから理解するのではなく文章理解の流れのなかで図が参照されますので,文章に対するPOIと図の注目すべき箇所を関連づけて研究なさると今後,さらに面白くなるのではないかと思います.
現状ですが,図とそれに対するアニメーションがその文脈,及びそれを読む読者の視点から独立した存在となっている点に改善の余地があります.読者が読み進むペースに併せた情報提示,読者が読み詰った箇所に該当するアニメーションの提示,文章の指示語と図中の位置の対応関係の表示などは面白いのではないかと(素人ながら)考えさせられました.
今後の研究の発展を期待しています.