査読者 1
総合点
5
確信度
1
コメント
・評価できる点
将棋の中継配信映像におけるHalf-DRの課題に対しての提案については明確に述べられおり、提案手法の有効性が示されている。
既存研究との差分、(前景と後景の映像が一つで同時に見れ、かつ前景と後景の動作が一致している)は確認できる。
実装もきちんとされており、論文もわかりやすく書かれている。
疑問点:
著者らものべているように、後景は静止していてなおかつ前景は動き続けるような状況のなかで、有効なシステムデザインであるため、
将棋の中継映像配信以外の応用事例(ボードゲーム以外)が思い当たらず、有用性があるかどうか疑問が残る。
採録判定時のコメント
将棋の中継配信映像に Half-Diminished Reality(半透過型画像合成)を利用する提案であり、実装を通じて提案手法の有効性が示されています。論文もわかりやすく書かれていますが、一方で技術的な新規性は少なく(使用されている画像処理手法は一般的なもの)、ボードゲーム以外への適用可能性もはっきりしませんが、4ページ論文としては十分であると評価され、ショート採録となりました。
レビューサマリ
全体の構成:
本論文では、将棋の中継配信映像における Half-Diminished Reality(半透過型画像合成)の課題に対して、前景と後景の映像を同時一つの画面で見ることができ、かつ前景と後景の動作が一致するような映像配信を実現させ、設定された問題について提案手法の有効性を示しています。実装もきちんとされており、添付のビデオからも提案手法の有効性が示されていると考えます。一方で、使用されている画像処理手法は一般的なものであり、技術的な新規性は少ないと判断されました。
改良に向けたコメント等:
将棋等のボードゲーム「以外の」事例で、本システムが有益かどうかが示されておらず、汎用性に欠けると考えます。少なくとも、将棋以外の適用例を論文に示していただければ、本論文の有益性が確認できると考えます。
また、将棋における「手の遮蔽」がどの程度中継における問題となっているか、引用か何かがあると説得力が増すのではないでしょうか。
その他コメント
査読者 2
総合点
3
確信度
2
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ビデオ画像の動き情報を用いた「動いている物体の切り出し」は既知技術であり、スポーツの解説映像等でも多く使われている。
また、映像の半透明重ね合わせによる教示は、CSCW の分野では広く使われている(例えば以下の文献を参照:
Hiroshi Ishii and Naomi Miyake. 1991. Toward an open shared workspace: computer and video fusion approach of TeamWorkStation. Commun. ACM 34, 12 (December 1991), 37-50. )
提案手法は、既に広く使われている上記2つの手法を組み合わせたものであり、新規性に乏しい。
また、(提案されているように)将棋等のボードゲームの解説には適していると思われるが、汎用性には欠ける(少なくとも、将棋以外の複数の適用例を示して欲しい)。
現状ではデモとしての採択が妥当であろうと考えられる。
査読者 3
総合点
4
確信度
2
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きちんとした論文に仕上がってはいますが、基本的なアイデアは単純なものですし、適用できる範囲も不明です。将棋という特定の領域において/比較的単純なアルゴリズムを試してみたら/割とうまくいった/ということの報告になるでしょうか。
こういう問題が存在し、こういう解法があるということの紹介としては良いかもしれません。
査読者 4
総合点
6
確信度
2
コメント
動画中継における遮蔽の問題をHalf-DRで解決を試みたものであり、今回は特に将棋の中継における現実的な課題に着目しています。この将棋における手の遮蔽というのがどの程度中継における問題となっているか、引用か何かがあると良いと思いました。今回の投稿された参考ビデオ映像だと、ユーザが動かしている駒はわかりやすくなり、本システムは有益だと感じます。また論文のページ数も今回の貢献にちょうど良く、また文章も整理されていて読みやすいです。どの程度手を透過させると良いかなど、人間の知覚部分の考察が入ると良いと思いました。