StudI/O:立体への投影を利用したトイブロック組み立て支援

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review comment 1
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■ 総合点
3
■ 確信度
3
■ 査読コメント
ブロックを置くべき場所にあえて歪みのある映像を投影し、正しい位置にブロックを置いたときに映像がぴったりと合う性質を利用する、というアイデアは面白いです。しかしまだ最初期の実験段階であり、このシステムで「ほとんどのLEGO作品を組み立てることができる」ようになるためにはたくさんの問題を解決していく必要がありそうです。特に、提案手法はブロックへの直接投影を行うため、ブロックの色や、積み上げ中の形状によって視認性が著しく低下すると考えられ、現在の実装では使えるパーツと組み立てられる形状に限界があります。このあたりの制約条件についてもう少し議論してほしいです。

[追加の参考文献]
以下はプロジェクションによる組み立て支援の研究です。
Koji Tsukada, Keita Watanabe, Daisuke Akatsuka, and Maho Oki, FabNavi: Support system to assemblephysical objects using visual instructions, Paper presented at Fab10, Barcelona, 2-8 July(2014 )
http://fabnavi.org/

「歪んだ投影像にぴったり合うように物体を合わせれば、指示通りの位置における」という部分については、以下の論文も参考にしてください。
東城,日浦,井口:プロジェクタを用いた3次元遠隔指示インタフェースの構築,VR学会論文誌,Vol.7, No.2,pp.169-176, 2002.
http://intron.kz.tsukuba.ac.jp/tvrsj/7.2/tr7.2.html#no6
http://vision.kuee.kyoto-u.ac.jp/Informatics-A03/result/area3/3-2-hiura1.pdf
■ レビューサマリー
実装や論文はまだ荒削りですが、アイデアそのものは面白いです。議論ポイントとしては、このような方法でトイブロックの組み立て支援を行うことの意義、より複雑度が高くて規模の大きなトイブロック作品への適用可能性、手法の制約条件、レゴブロック以外への汎用性・拡張性はあるのか、などが挙げられると思います。これらの内容を整理し、論文に加筆していただいて、登壇時には活発な議論ができるようご準備いただきたいと思います。



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review comment 2
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■ 総合点
4
■ 確信度
1
■ 査読コメント
プロジェクションマッピングを用いて、プロジェクタのみで、立体物の組み立て支援を行うというアイデアに新規性と可能性を感じました。

実際評価実験ではかなりの作業時間の改善が見られており、有用性も高いと思われます。

ただ、論文で示した例程度のサイズならばうまくいくでしょうが、もっと大きなサイズの事例に対応出来るのか?、レゴブロック以外の応用が出来るのか?汎用性の点で疑問です。


採択された場合の発表内容、議論内容に対するリクエスト:

論文では評価のため意味の無い形状を用いていましたが、発表では是非面白い例をデモして見せてください。

提案手法は、レゴブロック組み立て支援以外の応用可能性があるのか、どのような部品組み立て事例が考えられるのか議論してもらえるとより可能性と汎用性が感じられる論文になると思います。



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review comment 3
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■ 総合点
3
■ 確信度
3
■ 査読コメント
プロジェクションマッピングで物がズレていると絵が合わないという欠点を逆に利用したアイデアは面白いです.手軽な装置で実現できるため,関連研究のような大げさなものよりも普及しやすいと思います.

論文は,装置の制約が所々に分散して入っていて非常に読みにくいです.まずは理想的な装置としてこんな風にできます,と書いて.しかし現実にはこういう制約があるのでこんな性質です,と装置の制約はまとめて書く.具体的にはプロジェクターのピントであるとか投影範囲であるとかの部分です.

一番気になったのは,4節の最後「機械的で単調な作業に陥りやすく,組み立てることの楽しさを感じられない」という部分と,6節のまとめ「作業時間が20%以上短縮」という部分です.
LEGOがどうして教育に使われているかという点はよく考えてください.LEGOをやって途中でわからなくなって楽しくなくなった,という人がいなくなる,ということにこそ技術が使われるべきです.制作時間は長くなってもかまいません.落ちこぼれる人が誰もいなくなるとか,全員が楽しくやれたとか,そういうことの方が何倍も重要です.

この技術は面白いので,評価とか実験の方向を間違えないで,良い研究にしてください.