大規模社会ネットワークの3次元視覚化手法の提案
著者/Authors
越田 港 | 東京工業大学 |
細部 博史 | 国立情報学研究所 |
脇田 建 | 東京工業大学 |
概要/Abstract
百万個を超えるノードから成る社会ネットワークを視覚化する手法を提案する。視覚化に際し問題となるのは、計算時間の大きさと見辛さである。その原因はノード数の多さにある。本論文では情報を過剰に減らすことなくこれを解消する手法を提案する。まず全てのノードをクラスタリングする。これによりノードは百個程度のクラスタに分類される。本来のノードに代わりクラスタを新たなノードとしてネットワークを視覚化することで計算時間の減少と見辛さの改善をする。次に、この時失われたクラスタ内部のノードに関する情報を復元する。そのためにインタラクティブに操作を行え、注目度に差をつけ易い3次元へグラフ配置を行う。これは多次元尺度法により得た高次元の座標配置を射影ベクトルにより3次元へ射影する手法を用いる。3次元上に表現されたネットワークの各クラスタは大きさと視点との近さにより注目度を設定できる。注目度の値が閾値を上回るとそれに応じてクラスタ内部を階層的に表示する。この構造により、不必要に見易さを損なわずに必要な情報を視覚化することができる。さらに、多次元尺度法による高次元の座標配置を3次元に射影する際の射影ベクトルを変更することで、3次元ではどの方向からもわかりにくいような密集した部分を広げて見ることを可能にする。これらの手法を用いて、大規模な社会ネットワークを3次元に視覚化する際の計算時間を減らし、見辛さを改善する。
キーワード/Keywords
クラスタリング,多次元尺度法,階層化